NIMS一般公開2024 開催報告
NIMSは、年に一度の研究所公開「NIMS一般公開2024」を開催しました。2024.07.26
来場者からは「1日では見尽くせない。知らない世界があり過ぎて感動(高校生)」「めちゃくちゃ楽しかったです!将来ダイヤモンドの研究したいなって改めて思いました!(中学生)」「自身の研究と結び付けて考えることができ、大変参考になりました(大学院生)」「研究者の皆さんの凄さを改めて肌身に感じることができました(会社員)」などの声をいただき、大盛況のうちに終了いたしました。
研究所大探訪ツアー
航空機材料、電池開発から水素液化など、世界を変える最先端材料が生まれる研究現場を研究者の解説付きで巡る20のラボツアーを実施しました。事前申込の開始からわずか半日で200名以上の枠がほぼ満員に達し、開催前から参加者の高い関心をうかがうことができ、実際にツアー参加者からは以下のような感想をいただくなど、実際の研究現場で研究者の生の声を聴いていただくことで、材料科学の魅力を存分に感じていただくことができました。
「半導体が世界を変える」ツアー参加者:「クリーンルームに入る貴重な体験が出来楽しかったです(自営業)」
「最先端計測で、世界を変える」ツアー参加者:「ビーム実験棟のスピン分解光電子分光の説明がわかりやすく、機器も迫力があった。(会社員)」
「水素で、世界を変える」ツアー参加者:「CO2ゼロエミ水素を作る触媒システム。水素を生成する上で発生する副産物を自然の中に組み込める形に整えていることが素晴らしかった(会社員)」
60を超えるラボ公開
大学院生:(電気化学スマートラボによる蓄電池開発に参加して)「数多くの材料候補を組み合わせて実験する作業を自動化するだけでなく、AIを活用してより効率的に高性能となる組み合わせを予測するプロセスを構築していることに感心しました。」
大学生:「原子スイッチ、エアロゲルの実物を見られて嬉しかった」、「バイオメティックス接着(が印象に残りました)。私は生物学に興味があるので、生物学と工学の繋がりを知れて面白かった。生物から構造だけでなく、発生の過程から作り方まで学び、工学に反映させることが出来るのか、と新たな視点が1つ増えた。」
高校生:「ヤシガニのハサミ3D組織構造(が印象に残りました)。生物から着想を得た、というのが大変面白く、ポスターの内容も理解できた。」「(印象に残ったのは)アルミ箔以外にも存在する軽金属箔。Mgの新しい可能性(電池として利用する)を知れました。また、Mgが他の金属より錆の進行が早いなどの問題点も知れました。」
中学生:「先生たちがいきいきしていた」「AIを開発するにしても、ソフト面だけでなくハード面からも開発できるということをしり、驚いた。」
中学生の親御さん:「掲示が親切で、周期表を覚えたての中学2年生でも楽しめるところが多かった」
小学生:「花粉などをみたり、蛍光色の構造などを教えてもらい楽しかったです。」
小学生の親御さん:「見てさわって体感するナノの機械のところで、説明が子供や科学に疎い親にも分かりやすかったです。」
解説を担当したNIMSの研究者からは、「興味津々な参加者の様子を見ることができ、こちらまで嬉しくなりました」、「半導体デバイスがどうすれば良くなるのか、太陽電池はなぜ発電するのかの原理を説明すると、初めて理解できましたと言ってもらえることが本当に多く、特に若い世代に対しては今後の役に立てたと感じました。」などの感想が寄せられました。
研究者体験コース「電子顕微鏡リアル体験」
高性能な透過型電子顕微鏡(TEM)と、集束イオンビーム(FIB)と走査型電子顕微鏡(SEM)が一体化したFIB-SEMを、NIMSエンジニア職の説明を受けながら実際に操作していただきました。参加した大学生からは、「(印象に残っているのは)電子顕微鏡を用いてCNT内部に入れた分子を観察する研究。映像や実際の装置を見ることができ、とても興味深かった。」と感想が寄せられました。
農研機構コラボ講演会「NIMSとNAROで、酪農を変える」
酪農家を助け、おいしい牛乳をお届けするために、牛への深い知識と最先端のセンサ技術が出会って実現した牛の健康管理の最新技術と酪農の未来について、においセンサ研究者の吉川 元起氏(NIMS高分子・バイオ材料研究センター バイオ材料分野 嗅覚センサグループ グループリーダー)と畜産研究者の中久保 亮氏(NARO畜産研究部門 高度飼養技術研究領域 スマート畜産施設グループ 上級研究員)が語りました。
両研究者の魅力的な人柄もあり、エピソードひとつひとつがとても面白く、子どもから大人まで、会場は笑いや感心の声に包まれ、以下のような感想をいただくなど、研究の楽しさや応用に触れ、新たな知見を広げ、興味関心を深めていただくことができました。
高校生:「牛乳のにおいで牛の健康が知れるのは新しい知見だった」、「他の動物への応用も知りたい」、「コラボレーションでたくさんのセンサの活用の可能性が見つけられることにワクワクする」、「つくばってすごい」
大学生:「においセンサのほかの応用を知りたい」、「他の研究機関との共同研究の講演を聞きたい」、「今後の実用化が気になる」、「民間企業とのコラボの話が聞きたい」
若手研究者特別講演会「ベンチャーで、世界を変える」
NIMSには、最先端材料を生み出し、その社会実装に向けて自らベンチャーを立ち上げて奮闘する若き研究者たちがいます。今年は、その中から二名の研究者による講演会を実施しました。講演者は、株式会社Qceptionを起業した今村 岳氏(NIMS高分子・バイオ材料研究センター バイオ材料分野 電気化学ナノバイオグループ 主任研究員)と、株式会社Thermalyticaを起業したウー ラダー氏(NIMS 構造材料研究センター 材料創製分野 超耐熱材料グループ 主任研究員)です。研究の紹介とベンチャーにかける思い、また自身の人となりなどが話されました。参加者からは、研究の凄さや重要性を学んだ、ベンチャー起業について共感を得た、研究の社会貢献と未来の可能性を感じたとの声や、今後の研究の発展への期待も寄せられました。
高校生以下:「食べ物のにおいが測れるのはすごい」、「においの判別だけでなく数値で測れることを知った」、「研究者の趣味が知れて面白かった」、「研究者が会社を作れることを知った」「断熱材に種類があることを知った」
大学生:「ニオイセンサの研究とこれからの展望について、非常に面白く感じました。呼気のニオイ計測などの応用例を説明してくれたので、研究のモチベーションが分かりやすかったです」、「私もNIMSの人と研究がしたいです」、「同じシリカで性能に差が出るのが不思議」
大学・研究機関:「非常に将来性の明るい研究と感じた」、「断熱の重要性を認識した」、「私たちに役立つ研究を続けてください」
NIMS連携大学院等説明会
今回は、民間企業で活躍するNIMS卒業生が、修士課程・博士課程での経験談を紹介しました。学部学生の来訪が多く、進路や研究生活などについて、熱心に相談する様子がみられました。
若手国際研究センター(ICYS)の紹介
ICYSにはこれからの材料科学を先導する優れた若手研究者が世界中から集結しています。彼らがどんなアイデアで材料研究に挑戦しているのか、直接ICYSリサーチフェローに質問する機会を提供しました。
NIMS研究成果事業化取組紹介
企業連携事業、スタートアップ支援事業紹介ためのポスター展示を行いました。若手研究者特別講演会の内容と関連のある内容だったこともあり、市場に対する波及効果などを突き詰めて世の中をどう変えていくのかなど、ベンチャー設立に関する紹介に興味を持たれた方が多くみられました。
職員採用説明会
NIMSには約1,500人の職員が働いています。研究者を支え共に働くエンジニア職・事務職もNIMSには大切な職種です。NIMSで働きたいという方はもちろん、どんな人が働いているか知りたいという方でも、気軽にお立ち寄りできるブースを準備しました。来場された大学生からは、「それぞれの職種についてよく知ることができた」とコメントをいただきました。
オリジナルグッズ
一つ目は、電子顕微鏡を使って得られた画像をモチーフにした「NIMSオリジナル手ぬぐい」です。デザインには、磁性・スピントロニクス材料研究センターの高橋 有紀子センター長らの研究で得られた、ハードディスク用FePt-C媒体の微細な電子顕微鏡TEM像を使用。科学と伝統芸術が融合した独特の模様が特徴です。
二つ目は、限定ポストカード(全15種類)です。 『NIMS NOW』撮り下ろし表紙写真 ポストカード 5種と、NIMS研究紹介かるた ポストカード 11種です。「研究紹介かるた」のポストカードは、「売っていたら全種類、買いたい!」という声もいただきました(非売品です)。
お問い合わせ先
E-Mail: openhouse=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)