理事長挨拶
NIMS (国立研究開発法人物質・材料研究機構) 理事長からみなさまへ
2026年04月01日 更新
創立25周年に寄せて

NIMS理事長 宝野 和博
私たちの歩みは、戦後日本の復興と産業発展への貢献を使命として設立されたこの二つの研究所に始まります。金材技研は「新材料の開発」と「材料信頼性の確立」を研究の二本柱として、超伝導材料や超耐熱合金など、社会に不可欠な材料を数多く実用化し、産業の根幹を支えました。一方、無機材研はダイヤモンド合成や高機能セラミックスなど、基礎科学の探究から新たな価値を創造し、世界の材料科学技術をリードしてきました。2001年、二つの研究所はナノテクノロジーという新たな潮流のなかで統合され、NIMSとして新たなスタートを切りました。この70年にわたる歴史の中で、私たちは常に社会の要請に応え、材料研究を通じて人類の暮らしと文明の発展に貢献するという志を受け継いでまいりました。
今、世界は地球環境問題、エネルギー・資源制約、地政学的リスクの高まりなど、複雑で困難な課題に直面しています。こうした時代にあって、社会のあらゆる基盤を支える材料科学技術の役割は、ますます重要になっています。私たちはこの歴史の礎の上に立ち、未来への挑戦を加速させてまいります。
その中核となるのが、AIとロボティクスを駆使した材料研究の革新です。これまで蓄積してきたデータ基盤と、自動で実験を行う「スマートラボ」の技術を発展させ、データと自動実験をAIで有機的につなぐ「自動自律実験」の実現を目指します。これにより、材料開発のスピードと質を飛躍的に向上させ、従来の開発手法そのものを変革してまいります。また、我が国の産業競争力の鍵を握る次世代半導体分野では、将来を見据えた基礎研究を推進し、エネルギー・環境分野では、水素関連材料やカーボンニュートラルに資する材料研究を強化することで、持続可能な社会の実現に貢献します。
いかなる挑戦も、その中心にあるのは「人」です。私たちは、世界中から多様で優秀な人材を惹きつけ、育成し、その活躍を支える国際的な研究ハブとなることを目指します。国内外の大学や研究機関との連携を深め、特に若手研究者が経済的な不安なく研究に打ち込み、世界へ羽ばたける環境を整備することで、次代の材料科学技術を担う人材循環のエコシステムを構築してまいります。
創立25周年を新たな出発点として、私たちはこれからも歴史への誇りと未来への責任を胸に、材料の無限の可能性を追求し、社会とともに未来を創造する研究機関であり続けます。
引き続き、皆様の温かいご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)
理事長 宝野 和博

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