公募型の各種研究開発事業に対する、NIMSの取り組みについて

2018.06.29 更新

NIMSでは、文部科学省をはじめ各機関が公募する、各種研究開発事業にも積極的に応募・参加しています。公募型研究事業では、研究課題を提案し、科学的・技術的な観点を主とした評価を経て、実施課題が採択されます。
平成19年度には、NIMSは文部科学省の「世界トップレベル国際研究拠点形成推進プログラム」の対象機関のひとつとして採択されるなど、着実な成果をあげています。

NIMSが関わる文部科学省の代表的な研究事業・プログラム

ナノテクノロジーを活用した環境技術開発プログラム

平成21年度から開始されたこのプログラムは、近年、優先的に取り組むべき課題の一つとなっている環境問題に対し、ナノテクノロジー・材料分野で高い研究水準を誇る日本の強みを生かして、新機能を持つ材料を開発し、環境技術にブレークスルーをもたらすことで、持続可能な社会を構築することを目的としています。そのために、産学が連携して環境技術の基礎基盤的な研究開発を推進します。

NIMSはこのプログラムに採択され、「ナノ材料科学環境拠点 (GREEN) 」を設立しました。

ナノテクノロジープラットフォーム事業

平成24年度から事業実施期間10年の予定で開始された本事業は、ナノテクノロジーに関する最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関が緊密に連携し、全国的な設備の共用体制を共同で構築することを目的としています。 本事業を通じて、産学官の多様な利用者による設備の共同利用を促進し、産業界や研究現場が有する技術的課題の解決へのアプローチを提供するとともに、産学官連携や異分野融合を推進します。
NIMSはこの事業のセンター機関としてプラットフォーム全体の調整・推進及び総合窓口を行うセンター業務を担い、強固、かつ利便性の高いプラットフォーム構築に寄与しているほか、微細構造解析プラットフォームの代表機関として,参画全国11機関の窓口、とりまとめ、プラットフォームの利用促進と成果普及に寄与しています。更に微細構造解析、微細加工、分子・物質合成の3領域の実施機関としてもプラットフォーム事業に参画しています。

元素戦略プロジェクト<研究拠点形成型>

平成24年度から事業実施期間10年の予定で開始された本プロジェクトは、我が国の産業競争力強化に不可欠である革新的な希少元素代替材料 (磁石材料、触媒・電池材料、電子材料、構造材料) を開発するため、物質中の元素機能の理論的解明から、新材料の創製、特性評価までを密接な連携・協働の下で一体的に推進することを目的としています。
NIMSは本プロジェクトが対象とする4つの材料領域のうち「磁石材料」領域に採択され、「元素戦略磁性材料研究拠点」を設立し、ネオジム焼結磁石と同等の性能を有する磁石を、希少元素を用いることなく作成することを目標に研究活動に取り組んでいます。

省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発

平成28年度から開始された本事業は、省エネルギー社会の実現に向けて、窒化ガリウム (GaN) 等の次世代半導体に関し、「結晶創製」、「パワーデバイス応用」、「評価基盤」、「レーザーデバイス応用」、「高周波デバイス・システム応用」の五つの技術領域が一体的な連携をなしながら、我が国の強みを活かして実用化に向けた研究開発を加速することを目的としています。
その五領域のうち、NIMSは平成28年度から五年間の計画で「評価基盤」領域の実施機関として採択され、私たちが強みとするナノ計測技術や構造・電子状態計測などの先端計測技術を活用し、パワー半導体などの次世代デバイス開発を進めています。

イノベーションハブ構築支援事業

平成27年度より最長5年の予定で開始された本事業では、国立研究開発法人の機能強化を支援し、グローバルな競争環境の中で優位性を発揮できるよう、また我が国の研究力・人材力強化の中核的な拠点として必要な役割を果たすことができるよう、各国立研究開発法人の使命・役割に応じた国際的な拠点化や国内外の関係機関との連携、すなわち「イノベーションハブ」の構築を進めていきます。
NIMSは平成27年度に「情報統合型物質・材料開発イニシアティブ (MI2I : “Materials research by Information Integration” Initiative)」事業が採択され、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) による支援を駆動力として、物質・材料科学から情報・数理科学に亘る産学官の協働体制を構築し、さらにより広範な企業の参画をも促して、オープンイノベーションに繋がるこの分野のハブ拠点化を目指した活動を行っています。

戦略的イノベーション創造プログラム (SIP)

平成26年度より開始された本プログラム (SIP) は、府省・分野の枠を超えた横断型のプログラムであり、総合科学技術・イノベーション会議が対象となる課題を特定し、予算を重点配分するものです。
NIMSでは対象課題のうち「革新的構造材料」「次世代パワーエレクトロニクス」「インフラ維持管理・更新マネジメント技術」と複数にわたる課題において採択され、これに伴い、構造材料研究拠点においてSIP-鍛造ラボとSIP-インフラ構造材料ラボを、また統合型材料開発・情報基盤部門においてSIP-MIラボを設置し、機構内だけでなく他機関とも連携しながら課題に取り組んでいます。