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酸化物セラミックスのナノ粒界構造設計

Designing of Grain Boundary Nano-structures in Structural Oxide Ceramics

吉田 英弘 YOSHIDA.Hidehiro@nims.go.jp

セラミックス多結晶体の微細組織や機能・力学特性は、結晶粒界のナノ構造に大きく依存していることが明らかとなってきました。このことから、ナノスケールでの粒界構造設計により、セラミックスの特長である高強度・耐食性を生かしつつ、新しい特性を付加できると考えられます。

本研究では、粒界が関わる種々の輸送現象と、ナノ粒界の構造および原子間結合状態との関係を、実験・理論の両面から明らかにし、ナノ粒界構造設計に基づく機能・構造セラミックスの開発をめざしています。これまでに、微量のカチオンドーピングによるナノ粒界構造の制御により、高加工性・多機能セラミックスの開発が実現しました。また、ナノ粒界の物質輸送制御に基づく酸化物緻密体の低温合成にも成功しています。ナノ粒界構造設計の上では、微構造観察や電子状態解析が有効です。ナノ粒界構造設計を利用することで、環境配慮型の機能・構造材料の開発や、プロセス技術の開拓が期待されます。

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カチオンドーピングによるナノ粒界電子状態制御の概念図(左図)と、単相ジルコニア系セラミックスで実現した1000%超の高温延性の例(上図)。粒界ナノ領域での原子拡散や界面エネルギーの制御には、第一原理計算に基づく電子状態の解析が有効である。