チタン合金は軽量・高強度・高耐食性などの特長を持ち、航空機などの輸送機器や化学プラントなどに用いられています。 また、地球上に豊富に存在していることから、環境・エネルギー問題の観点からも今後使用拡大が期待される材料です。
私たちは、新しいタイプの高温用チタン合金であるTi2AlNb基合金や耐食性に優れたβ型Ti-Mo系合金を研究対象に、Feなどの低コスト元素の添加や加工熱処理などの金属組織制御法を活用することで、より低コストで環境にやさしく、かつ高い特性を示す新たなチタン合金の開発に取り組んでいます。
右図に示したのはTi2AlNb基合金中のNbをMoおよびFeで置き換え、高温でのクリープ特性に及ぼす影響を調べた結果です。Feを添加することでクリープ特性が向上するだけでなく、高価でかつ地球上に偏在しているNbの使用量を大幅に低減することが可能となります。
このような取り組みを通じて、チタン合金がより広範囲で使用されるようになり、鉄鋼やアルミニウム合金と同様な汎用構造用金属材料となることを目指しています。
Ti2AlNb基合金の650℃でのクリープ特性に及ぼすMo, Fe添加の影響。同じ応力を負荷し同じ時間保持した場合のクリープ変形量が従来のTi2AlNb基合金と比較し3分の1に減少する。 |
