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Ni基超合金の理論的設計手法の開発

Development of a Theoretical Design Method for Ni-base Superalloys

北嶋 具教 KITASHIMA.Tomonori@nims.go.jp

Ni基超合金は発電用タービンやジェットエンジンの高温高圧部に使われており、この材料の高性能化はCO2削減など環境エネルギー問題に大きく貢献します。Ni基超合金はおよそ10元素からなる複雑な多元系合金であり、従来は経験式により設計開発されてきました。超合金の高性能化を加速するため、数値計算と実験により組織形成や変形のメカニズムを解明しながら、理論的な合金設計手法の開発を行っています。右の図はPhase-field法とCALPHAD法を併用した組織形成シミュレーションの一例であり、8元系超合金TMS-75のγ’相析出時のAlとReの濃度分布を示しています。このような実用的な多元系のγ’相析出時の組織形成を予測したシミュレーションは世界で初めてです。現在は英国ケンブリッジ大学にて透過電子顕微鏡を使ってクリープ変形時の転位組織の解析を行っています(2009年8月から2011年3月まで駐在予定)。

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8元系実用Ni基超合金TMS-75のγ’相析出初期段階のAl、Reの濃度分布のシミュレーション結果。白と黒は元素の高濃度と低濃度を示す。

参考印刷物:
[1] T. Kitashima, H. Harada, Acta Materialia, Vol.57 (2009) 2020-2028.
[2] T. Kitashima, Philosophical Magazine, Vol.88 (2008) 1615 -1637 (Review Article).
[3] NIMS NOW, 特集”超耐熱材料研究の最前線”, Vol.9, No.8, (2009) 2-8.