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プラズマ溶射耐熱コーティングのテラヘルツ波による非破壊評価

Nondestructive Evaluation of Thermal Barrier Coatings by Terahertz Wave Technology

渡邊 誠 WATANABE.Makoto@nims.go.jp

耐熱コーティングは、エンジンの燃焼温度上昇による高効率化や、母材の長寿命化に極めて効果的です。しかし、厳しい熱サイクルを受けるため、劣化損傷の評価手法確立が求められています。

テラヘルツ波はセラミックスをある程度透過可能であることから、耐熱コーティング材の界面はく離検出や、皮膜組織を非破壊的に評価する手法として期待できます。上図に、フェムト秒レーザと光伝導アンテナを用いて構築した時間領域テラヘルツ分光システムを示します。気効率の異なる耐熱コーティング材をプラズマ溶射により作成し、得られた皮膜の複素屈折率を評価した結果を下図に示します。屈折率と気効率に明瞭な相関が認められ、皮膜の気効率評価法としての可能性があることが分かりました。さらに、界面はく離や界面酸化物の成長、ラチェッティングと呼ばれる界面凸凹化の検出を試みるとともに、近接場光を利用した高分解能テラヘルツ分光・イメージングシステムの開発を進めております。

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テラヘルツ時間領域分光システムの概略図(上)、プラズマ溶射皮膜の複素屈折率と気効率の相関