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粒界・界面制御による結晶性材料の強靱化

Development of Toughness Crystalline Materials by Grain Boundary and Interface Controlling

井 誠一郎 II.Seiichiro@nims.go.jp

原子が規則的に配列した結晶性材料は、ほとんどがその集合体(多結晶)で実用材料として利用されます。実用材料、特に組織制御が施された構造材料中には、結晶粒界や異相界面等の2次元格子欠陥が必然的に多数存在することから、その2次元格子欠陥の原子レベルでの構造解析を試みてきました。

右図は、強加工を施した超微細純アルミニウムの結晶粒界を電子顕微鏡により観察した一例です。結晶粒界は、粗大粒で観察される原子の特徴的な配列(構造ユニット)に類似した構造を有するものの、加工に伴い形成された粒界には歪んだ構造ユニットが多数認められることがわかります。近年は、このような材料中の界面を積極的に利用する「粒界・界面工学」といわれる学問体系が提唱されつつあり、本成果をさらに発展させることで、原子レベルでの粒界・界面を制御することにより、脆性破壊における重要な因子の一つである粒界破壊を抑制し靱性に優れた材料開発に取り組んでいます。

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超微細粒純アルミニウムにおける大角粒界原子構造(傾角125.9°).左上に挿入したモデル粒界と類似した粒界の原子配列が観察されるものの,それぞれは歪んでいることがわかる.