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生体吸収性マグネシウム合金の耐食性被膜の開発

Development of Anti-corrosion Coating for Bioabsorbable Magnesium Alloys

廣本 祥子 HIROMOTO.Sachiko@nims.go.jp

患部が治癒した後、溶解し、生体に吸収されて消失する金属材料が求められています。マグネシウム合金は、Mgが必須元素の一つであり、比強度が高いことから、生体吸収性の骨折固定材やステントへの応用が期待されています。しかし、既存の工業用マグネシウム合金では耐食性が低すぎるという課題があります。そこで、骨の成分である水酸アパタイト(HAp)による、高耐食性・高生体適合性被膜の水熱処理による作製を試みています。

右図は、水熱処理により純マグネシウム表面に形成したHAp被膜の電子顕微鏡写真および疑似体液中でのアノード分極曲線です。HAp被覆材の電流密度は未処理材より低いことから、HAp被覆により耐食性が向上したことがわかります。

HAp被膜の形態が腐食挙動に及ぼす影響を検討することで、さらに耐食性が高い被膜を開発することができます。これは、構造材料用マグネシウム合金の環境調和型耐食性被膜としての応用が考えられます。

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HAp被覆純マグネシウム(処理時間8hおよび24h)および未処理純マグネシウムの疑似体液中でのアノード分極曲線。HAp被覆および処理時間の増加により、マグネシウムの耐食性を向上できることを示している。