34_Sawaguchi_face.psd

マルテンサイトと双晶の顕微鏡学的研究による機能的鉄鋼材料開発

Development of Functional Steels Based on Microscopic Study on Martensite and Twin

澤口 孝宏 SAWAGUCHI.Takahiro@nims.go.jp

高Mn鋼は、εマルテンサイト、γ双晶、平面すべり、転位などの多様な組織因子によって記述される複雑な変形組織を示し、形状記憶特性、耐摩耗性、制振特性、TRIP/TWIP効果などの多様な機能的・構造的性質を示します。

光学顕微鏡、EBSD、AFM、TEM、HRTEMなどの様々な顕微鏡観察手法を組み合わせて用いることにより、εマルテンサイト、γ変形双晶、平面すべりのように従来顕微鏡下での識別が難しかった内部組織を正確に同定し、その変形メカニズムに及ぼす影響を評価することが可能になりました。

原子の協同的運動によって記述されるマルテンサイト変態や双晶変形と転位の運動およびそれらの相互作用に関する新しい知見を活用して、強度・靭性バランスに優れた新しいオーステナイト鋼や、鉄基形状記憶合金、対地震用制振合金などの、機能・構造特性を有する新しい鉄鋼材料の開発に取り組んでいます。

34_Sawaguchi0.ai

Fe-30Mn-3Si-3Al合金に形成された変形双晶をEBSD(左)、AFM(中)、TEM(右)を用いて観察した例

Fe-30Mn-5Si-1Al合金注のεマルテンサイトとγ変形双晶のラメラ状組織(光顕)

対地震用制振合金の開発を検討中

(イメージ図)