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先進耐熱材料の高温疲労特性の解明

Characterization of High-Temperature Fatigue Properties for Advanced Heat-Resisting Materials

早川 正夫 HAYAKAWA.Masao@nims.go.jp

輸送機器や発電プラントの高温部では、起動停止時に発生する熱疲労(熱膨張・収縮時に、部材が拘束されることによって発生する応力負荷の繰返し)によって、壊れることがあります。そのため、エネルギー効率(燃焼温度)の高い次世代型のエンジンや発電プラントを実現するためには、より厳しい高温環境中でも耐え得るような先進耐熱材料の高温疲労特性を把握することが重要となります。そこで、高クロムフェライト系耐熱鋼、高強度オーステナイト鋼、ニッケル合金、コバルト合金、銅合金などに対して、ひずみ制御による低サイクル疲労から、荷重制御による10億回までのギガサイクル疲労特性を、広い温度範囲で系統的に解明することを進めています。また、疲労破面形態の解析、組織・強度変化を短寿命から長寿命域まで調べ、先進耐熱材料の高温疲労破壊メカニズムの解明に取り組んでいます。

右図は12Cr-2W鋼の室温(RT)、400℃、650℃における破断繰返し数10億回までの長期高温疲労特性を示しています。650℃の100万回を超える長期疲労では内部破壊起点が発生する場合もあり、組織変化(粒界・粒内析出物やサブグレインの粗大化)が場所ごとに不均一に起きる傾向が強まります。そこで、それ以前の短寿命側とそれ以後の長寿命側に分けて、それぞれに最適な疲労寿命予測法を開発しました。高温機器の安全設計に役立つことが期待されます。

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応力振幅、σa/MPa

破断繰返し数、Nf

 

12Cr-2W鋼の高温疲労特性。650℃の100万回(106サイクル)以上で内部破壊起点(/)が発生する場合がある。