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亜鉛代替Al系表面処理鋼板の開発

Development of New Galvanized Steels

片山 英樹 KATAYAMA.Hidekiki@nims.go.jp

耐食性に優れる表面処理鋼板は自動車や建材など幅広い分野で利用されており、中でも亜鉛めっき鋼板の生産量は全体の約80%を占めています。しかしながら、近年、中国などにおける亜鉛消費量の増大により、亜鉛資源の価格の高騰や資源確保に対する懸念がみられ、将来的に亜鉛資源の使用量抑制や代替が必要になると考えられています。そこで、本研究では、亜鉛めっきに替わる次世代型の表面処理鋼板を開発することを目指しています。

めっき材料において耐食性と犠牲防食作用は矛盾する性能であり、新しいめっき材料を開発するためには両機能のバランスを図る必要があります。右図はAl-Mg-Si系合金とZnのアノード分極挙動ですが、開発中のAl-Mg-Si系合金が耐食性、犠牲防食特性ともにZnと同等以上であることがわかります。Al、Mg、Siは資源的に豊富であるとともに無害であり,亜鉛代替の次世代めっき材料としてAl-Mg-Si系合金は大いに期待される材料です。

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0.1M NaCl溶液中でのAl-8.2Mg-4.8Si合金とZnのアノード分極曲線。 Al-8.2Mg-4.8Si合金の浸漬電位はZnよりも卑な電位を示しており(犠牲防食特性の維持)、また電流密度はおよそ3桁小さい値(高耐食性)を示している。