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金属材料の医療応用のための生体適合性評価

Biocompatibility Evaluation of Metallic Materials for Biomedical Application

山本 玲子 YAMAMOTO.Akikoi@nims.go.jp

金属材料は骨や歯など硬組織の代替材料として、またガイドワイヤやペースメーカー電極などの機能材料として、医療に広く用いられています。このように、生体組織と接触して使用される材料は、 生体に対して安全であることが重要です。

これまでは、主として動物を用いて材料の生体適合性が調べられてきました。しかし、ヒトと動物では種が異なるため、動物実験の結果をそのまま適用できるとは限りません。さらに試験費用が高額であり、期間も長いなどの問題がありました。

そこで、近年では、ヒトや動物の体を構成する細胞を用いた評価法が開発されています。従来の動物実験の結果と高い相関性が得られることが確認された方法もあります。

細胞を用いた評価法の適用により、短期間でより効率的に材料の基礎的な生体適合性を調べることができ、新規医療材料の開発において、非常に有用です。

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図 表面処理による細胞適合性の改善例

未処理および表面処理をした純マグネシウム上で7日間細胞培養を行った後の光学顕微鏡像を示します(染色剤により、細胞は青色~茶色に観察されます)。
未処理試料(左)では、細胞はほとんど伸展せず、その数も少ないのですが、表面処理試料では、細胞は大きく伸展し、順調に増殖していることがわかります。
このように、培養細胞を用いることにより、材料の生体適合性や表面処理の効果などを、比較的簡単に調べることができます。