第5回NIMS国際標準化セミナー
NIMSは物質・材料に関する我が国の中核研究機関として、先進材料に関する研究技術開発を牽引し、イノベーションを引き起こすことが求められています。これら新しく開発した技術を実装するには、国際標準化も両輪として進めなければならないと考えています。
そこで、国際標準化を進めるにあたっての成功例、失敗例等をお話していただくNIMS国際標準化セミナーを企画しました。昨年に続き、今年で5回目となります。
今回は、プレ標準化研究を行う国際的な共同研究の枠組みであるVAMAS (新材料及び標準に関するベルサイユプロジェクト) の日本代表委員である藤本俊幸博士(産総研)、並びにVAMAS作業部会(TWA)の一つのTWA16 (超電導材料) 議長である西島元博士(NIMS)に、VAMAS活動を経てISO/IEC規格制定を実際に達成された成功例を話していただく機会を設けました。
今後、ISOやIECなどの国際舞台で意見を堂々と発言できる若手研究者、技術者の人材育成の一助になればと考えています。
皆様のご参加をお待ちしております。
日時
2023年2月22日 (水) 14:40-16:20
参加方法
参加を希望される方は、「件名 : セミナー申し込み」として「お名前・所属」をご記載のうえ、下記お問い合わせ先までメールをお送りいただきますようお願いします。後日、zoomの招待URLをお送りいたします。
2023年2月20日 (月) 17:00 締切
お問い合わせ先 : NIMS国際標準化委員会事務局
E-mail:vamasj-secretariat=ml.nims.go.jp([ = ] を [ @ ] にしてください)
プログラム
14 : 40
-14 : 45 | 開会の挨拶 | 藤田 大介
(NIMS国際標準化委員会委員長) |
14 : 45
-15 : 25 | 「VAMAS/TWA16における実用超伝導線材測定方法開発と標準化〜REBCO高温超伝導線材の臨界電流測定方法〜」
現在商品化されている (メーカーから購入可能な) 超伝導線はNbTi, Nb3Sn, Bi系 (Bi2212およびBi2223) , REBCO, MgB2の5種類である。臨界電流は工業材料としての超伝導線において最も基本的な性質なので、その測定方法を標準化することは重要である。IEC/TC90ではこれまでにNbTi, Nb3Sn, Bi系, REBCOの臨界電流測定についての標準を発行しているが、これらにはVAMAS/TWA16が関わっている。本講演では、2014年に国際ラウンドロビンテストを開始し、2020年にIEC61788-26として発行された、RE-Ba-Cu-O複合超伝導線の臨界電流測定方法について紹介する。 | 西島 元
物質・材料研究機構 超伝導システムグループリーダー |
15 : 25
-16 : 15 | 「薄膜計測の国際標準化」
薄膜は光学特性、電気特性、機械特性、熱特性等々の特性向上や機能発現に向けた幅広い産業で用いられている。薄膜が示す特性は化学組成のみならず、膜厚,密度,表面・界面粗さといった薄膜の構造に支配的に影響をうけることが知られている。膜厚は最も重要なパラメーターの一つであり、様々な計測方法が利用されているが、実際に測られている物理量 (Measurand) の違いにより方法間依存も多く見られる。膜厚はナノメートル、マイクロメートルといった長さの単位で評価されることから、長さ標準へ直接トレーサビリティーを有する計測装置を開発するとともに、同装置を用いて膜厚の認証標準物質の開発を行った。更に高品質な薄膜物質を基準として利用し、国際的な比較試験を実施し計測方法自体の国際標準化を行った。長さ標準へのトレーサビリティーが確立されたことによって、長さを基準とした光干渉法等の他測定方法との高精度な比較や併用が可能となった。これらの成果は2019年に施行されたキログラムの定義改定にも生かされている。当日はこれら一連の流れについて概説する。 | 藤本 俊幸
産業技術総合研究所 社会実装本部
チーフ標準化オフィサー |
16 : 15
-16 : 20 | 閉会の挨拶 | 北澤 英明
(NIMS国際標準化委員会事務局) |
