第10号

 (独) 物質・材料研究機構 (NIMS) より
■─────────────────────────────────■
　　　　　NIMS『使える ! メールマガジン』　 第10号 2012.06.1
■─────────────────────────────────■

　1.最新研究リリース①　~骨の再生を促進する複合多孔質足場材料を開発~
　2.最新研究リリース②　~燃料電池を高効率化する助触媒の役割を解明
　3.シリーズ「鮮やか ! 実験映像」⑥
　   ~熱にも負けず !  世界最強磁石の実力~
　4.今月の最新研究発表一覧
　5. 広報誌『NIMS　NOW』最新号 　
　
───────────────────────────────────


◆1 : 　最新研究リリース①　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　『骨の再生を促進する複合多孔質足場材料を開発』
　　　~生体内の細胞微小環境を模倣し、骨再生能力を向上~　 [2012.6.6]

　　けがや病気で骨に大きな欠損ができた場合、人間の自然治癒力には限りが
　あり修復することができません。そこで重要なのが再生医療ですが、このと
　き鍵となるのが「足場」材料です。多くの細胞は、成長の土台となる「足場」
　がないと増えることができません。足場の材料では、細胞との親和性の良さ
　と、強度は相反するのですが、NIMSでは材料を複合化することで細胞の増殖
　を促す多孔質足場材料を開発してきました。
　　今回、この足場材料が進化しました。成長の場を提供するだけでなく、骨
　の形成を誘導するタンパク質を生理活性が失われない形で結合させることに
　成功しました。これはナノレベルで作られている生体内の微小環境を模倣し
　たもので、実際にマウスに移植した状態で骨の形成を誘導する効果が持続し
　ました。
　　骨の再生に限らず、適切なタンパク質を足場材料に結合させれば、軟骨や
　皮膚など様々な組織の再生に応用できると考えられます。詳しくはこちら。

　http://www.nims.go.jp/news/press/2012/06/p201206060.html




◆2 : 　最新研究リリース②　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　『燃料電池反応を高効率化する「助触媒」の役割を実験敵に解明』
　　　~白金使用量の削減・燃料電池の高効率の同時実現に指針~[2012.5.29] 

　　水素を燃料にして発電する燃料電池はクリーンなエネルギーとして注目され
　ています。その中で、固体高分子形燃料電池は ①100℃以下の低温で動作 
　②小型化が容易 ③排出物が水だけ など利点が多く自動車やモバイル電子機器
　の電源、家庭設置用の普及が期待されています。
　　しかし、問題が一つ。それは反応の活性が低いため、触媒として希少材料で
　ある白金を大量に使用する必要があることです。ご存じの通り、白金は非常に
　高価な金属。以下に使用量を減らしコストを抑えるかが大きな課題です。　
　　そこでNIMSの成果が登場します。白金単独で使用するより高い活性を示す助
　触媒を開発しました。白金 - 酸化セリウムナノ複合体です。今回、Spring-8を
　用いた研究で、酸化セリウムの果たす役割が解明されました。高価な白金の
　使用量を抑え、高効率を実現する一石二鳥の技術が実現しつつあります。
　詳しくはこちら。

　http://www.nims.go.jp/news/press/2012/05/p201205290.html
　

　

◆3 : 　シリーズ『鮮やか ! 実験映像』⑥　　　━━━━━━━━━━━━━━
　　　　~熱にも負けず !  世界最強磁石の実力~

　　磁石が熱に弱いということをご存じでしょうか。日本で開発され、世界最高
　の強さを誇るネオジム磁石も例外ではありません。ハードディスクや携帯電話、
　ハイブリッド自動車、そして今では風量発電機など、高度な文明社会を築くこ
　とに欠かせないネオジム磁石も高熱の環境では磁力を失います。
　　それを防ぐ手段として、今は耐熱用の添加剤を加えています。しかし、この
　添加剤、ジスプロシウムは中国でしかとれない希少な元素です。価格の高騰や
　不安定な供給に対し、対策を講じることは日本の喫緊の課題です。その解決策
　をNIMSは既に生み出しています。数年以内の実用化を目指して動いている最新
　成果をご覧下さい。磁石の構造を原子レベルまで追求することで実現した世界
　でもNIMSだけの成果です。　
　
　http://www.nims.go.jp/publicity/digital/movie/heatresistant_magnet.html


　

◆4 : 　今月の最新研究発表一覧　　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
　
　『世界最高密度の量子ドットの自己形成に成功』
　　~高性能量子ドットデバイス実現に向けた研究がさらに加速~

　『酸化鉄表面スピン特性の解明と大幅な改善に成功』
　　~界面制御によるハーフメタル特性の向上~

　『周囲の環境に反応して動作を変えるシナプス素子を開発』
　　~人間や環境と対話する脳型コンピューター開発への貢献に期待~
　
　『超電導にとって「3」は特別の意味を持っていた』
　　~3つ以上の成分からなる多成分超伝導で起きる新規物性現象の解明~
　
　『空気中の物質を鋭敏に感知して発光するフィルムを開発』
　　~微量物質の検出センサーや新たなディスプレーへの応用に期待~
　
　『様々な素材に塗布可能、白色発光する不揮発性液体を開発』
　　~フルカラー化も容易　次世代発光材料として大きな期待
　
　詳しくはこちらから。
　　http://www.nims.go.jp/news/press/index.html
　
　


◆5 : 　広報誌『NIMS　NOW』最新号　━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　最新 (2012年6月) 号の特集は「3.11 東日本大震災」です。
　　2011年3月11日の東日本大震災から1年3カ月。NIMSではセシウムの除去や固化
　材料に関する研究のプレス発表を行なっています。また、2012年4月からは、
　震災を受けた新しい構造材料のプロジェクトが発足しました。このような震災
　関連の機構の動きを特集します。

　　次号、7・8月合併号は「子供にもわかる NIMSの材料研究」を特集する予定です。

　※NIMSでは毎月、広報誌『NIMS NOW』を発刊しています。
　　NIMSの研究を各号ワンテーマで紹介。各分野の最新動向を知ることができる
　『NIMS NOW』は、物質・材料研究すべてのフィールドの最新辞典。
　
　　ご購読の申し込み、オンライン購読、バックナンバーはこちら。
　　URL: http://www.nims.go.jp/publicity/nimsnow/

———————————————————————————————————
※本メールマガジンに関するお問合せはこちらまで
　pr=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
※メルマガ登録解除は下記アドレスに【空メール】をお送りください
　nims.unsubscribe=fofa.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

独立行政法人物質・材料研究機構　企画部門　広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1　TEL. 029-859-2026 (広報室直通) 
URL:http://www.nims.go.jp/
※掲載記事の無断転載を禁じます。
Copyright (c) NIMS. All rights reserved.