令和8年度 全国発明表彰「未来創造発明奨励賞」を張 晗 主任研究員が受賞

張 晗 主任研究員が「全国発明表彰 未来創造発明奨励賞」を受賞しました

公益社団法人発明協会が主催する令和8年度「全国発明表彰」において「未来創造発明奨励賞」が、NIMS マテリアル基盤研究センター 電子顕微鏡グループの 張 晗 主任研究員 他2名に贈られました。

全国発明表彰は、日本国内における科学技術の振興、産業経済の発展に大きく貢献している発明等に関し、功績のあった者を顕彰するもので、大正8年に科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まったものです。
「未来創造発明奨励賞」は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ、中小・ベンチャー企業、大学及び公設試験研究機関等の研究機関に係る発明等が対象となり、特に優秀と認められる発明等に贈呈されます。

また、本受賞に伴い「未来創造発明貢献賞」が、推薦者である 宝野 和博 NIMS理事長に贈られました。未来創造発明貢献賞は、未来創造発明賞もしくは未来創造発明奨励賞を受賞する発明等が法人におけるものである場合に、当該法人の代表者に贈呈される賞です。

表彰名

全国発明表彰 未来創造発明奨励賞

受賞者

張 晗 主任研究員の顔写真

張 晗 (ざん はん)
NIMS マテリアル基盤研究センター 電子顕微鏡グループ 主任研究員
中和科学株式会社 代表取締役

山内 泰 中和科学株式会社取締役の顔写真

山内 泰 (やまうち やすし)
中和科学株式会社 取締役
(元 国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 運営室長)

新井 義博 テラベース株式会社代表取締役の顔写真

新井 義博 (あらい よしひろ)
テラベース株式会社 代表取締役

受賞タイトル

「電界放出ナノ電子源の高性能顕微鏡実装技術の発明 (特許第7530545号)」

研究業績概要

本発明は、電界放出ナノ電子源に適した、電界放出電子銃の設計に関するものである。AI等のICT産業を支える計算資源に対する需要が高まる中、半導体素子の小型化と高密度実装が必要とされ、電子顕微鏡などの高度な技術に変革が及んでいる。半導体素子の製造には、高解像度と高スループットを兼ね備えた検査用の電子顕微鏡が不可欠であり、その実現には高輝度電子源が必要である。電界放出ナノ電子源は、従来の電子源に比べて100~1,000倍の輝度を持っており、電子顕微鏡の性能を向上させる。その一方で、角電流密度が低いという欠点も知られている。従来の電界放出電子銃は、複数の個別部品によって構成されており、光路長が長くならざるを得なかった。この長い光路長は、電界放出ナノ電子源を用いた場合、低い角電流密度を補う広い集光受入立体角のため、収差の影響が大きくなり、解像度とスループットを低下させる。

この問題を解決するために、電界放出ナノ電子源に適した新しい設計が求められていた。すなわち、従来の長い光路長を1/10程度に短縮した構造である。本発明は、一個の金属立方体の中にすべての部品を内蔵する、新しい電子銃の設計である。この「集積電子銃構造」により、光路長が短縮され、電界放出ナノ電子源の高輝度特性を活かす高性能電子顕微鏡が実現した。

高輝度電界放出ナノ電子源を実装した集積型電子銃は、必要な真空排気速度が小さく、動作環境の許容範囲が広いため、汎用高分解能電子顕微鏡を低価格で実現することが可能である。電界放出ナノ電子源は30年以上前から知られていたが、実用化には至っていなかった。本発明に基づく新しい設計法「集積電子銃構造」によって、汎用の卓上走査型電子顕微鏡から専門的な高性能電子顕微鏡まで、高輝度電界放出ナノ電子源の実装が可能になった。

表彰名

全国発明表彰 未来創造発明貢献賞

受賞者

宝野  和博
NIMS 理事長

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