令和8年度文部科学大臣表彰をNIMS職員5名が受賞
2026.04.07
令和8年度の科学技術分野の文部科学大臣表彰において、NIMS職員5名が受賞しました。
科学技術賞 研究部門 : 2名
我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った個人又はグループに贈られる賞です。
受賞者
東後 篤史 (とうご あつし)
マテリアル基盤研究センター
材料設計分野 材料科学計算基盤グループ
グループリーダー
表彰名
令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門
業績名
フォノン計算ソフトウェアの開発と材料研究への応用展開
業績概要
固体中の原子の振動であるフォノンは、熱伝導や構造安定性など材料の根幹的物性に深く関わるが、高精度データの不足や計算ソフトウェアの未普及、計算コストの高さにより、フォノンに基づく定量的材料研究は十分に進んでいなかった。
本研究では、フォノン計算ソフトウェアを長期にわたりオープンソースで開発・公開し、実用的な研究ツールとして確立し利用者コミュニティを育成した。また結晶対称性の判定を安定して行えるソフトウェアも開発し広く普及させた。さらに1万件以上の結晶構造に対しフォノン計算を実行しオープンデータとして公開した。加えて対称性を活用した構造探索など先駆的な応用分野の開拓にも貢献した。
本研究により、フォノン計算は誰もが利用できる材料研究の必須ツールとして定着し、新たな学術分野の地位が確立された。開発したデータベースにより多様な結晶のフォノン物性を横断的に参照可能となり研究の加速に貢献している。開発ソフトウェアは産業界でも利用が広がりコミュニティは学術を超え拡大した。
本成果は、フォノン計算の普及と高度化を通じて、計算材料科学に基づく新材料の探索・設計や産業応用の加速に寄与することが期待される。
本研究では、フォノン計算ソフトウェアを長期にわたりオープンソースで開発・公開し、実用的な研究ツールとして確立し利用者コミュニティを育成した。また結晶対称性の判定を安定して行えるソフトウェアも開発し広く普及させた。さらに1万件以上の結晶構造に対しフォノン計算を実行しオープンデータとして公開した。加えて対称性を活用した構造探索など先駆的な応用分野の開拓にも貢献した。
本研究により、フォノン計算は誰もが利用できる材料研究の必須ツールとして定着し、新たな学術分野の地位が確立された。開発したデータベースにより多様な結晶のフォノン物性を横断的に参照可能となり研究の加速に貢献している。開発ソフトウェアは産業界でも利用が広がりコミュニティは学術を超え拡大した。
本成果は、フォノン計算の普及と高度化を通じて、計算材料科学に基づく新材料の探索・設計や産業応用の加速に寄与することが期待される。
受賞者
森 孝雄 (もり たかお)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
副センター長
理事長補佐
表彰名
令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞 研究部門
業績名
新原理高性能熱電材料の研究
業績概要
熱電材料に関しては、熱輸送、電荷輸送、電子構造における種々のパラドックス的な要請があり、高性能を実現することは極めて困難である。
本研究では、熱電材料の高性能化の新原理を見出し、例えば、原子間サイトの熱輸送への予想以上の大きな効果の発見や粒界の制御によって、低熱伝導率の多結晶材料でありながら、単結晶並みの高い電荷移動度を達成した。その結果、半世紀以上熱電材料のチャンピオンとして君臨した希少なBi2Te3系材料を初めて凌駕できるような資源豊富な新規高性能熱電材料の開発に成功した。
本研究により、新規材料で組み立てた初期モジュールは、7.3%の熱電変換効率を実測し、Bi2Te3系の世界最高性能モジュールに匹敵した。また、乱れを制御することで、電荷のさらなる非局在化に成功して、単素子モジュールで最高の12.6%の熱電変換効率を達成した。新規材料の性能を実装モジュールに活かすための新原理のアクティブ電極の開発にも成功した。
本成果は、待望の資源豊富な新規な高性能熱電材料を提供し、ペルチェ冷却応用の拡大や、Society 5.0を実現するために必要な無数のセンサー用自立電源や、廃熱発電による省エネ効果でカーボンニュートラルに寄与することが期待される。
本研究では、熱電材料の高性能化の新原理を見出し、例えば、原子間サイトの熱輸送への予想以上の大きな効果の発見や粒界の制御によって、低熱伝導率の多結晶材料でありながら、単結晶並みの高い電荷移動度を達成した。その結果、半世紀以上熱電材料のチャンピオンとして君臨した希少なBi2Te3系材料を初めて凌駕できるような資源豊富な新規高性能熱電材料の開発に成功した。
本研究により、新規材料で組み立てた初期モジュールは、7.3%の熱電変換効率を実測し、Bi2Te3系の世界最高性能モジュールに匹敵した。また、乱れを制御することで、電荷のさらなる非局在化に成功して、単素子モジュールで最高の12.6%の熱電変換効率を達成した。新規材料の性能を実装モジュールに活かすための新原理のアクティブ電極の開発にも成功した。
本成果は、待望の資源豊富な新規な高性能熱電材料を提供し、ペルチェ冷却応用の拡大や、Society 5.0を実現するために必要な無数のセンサー用自立電源や、廃熱発電による省エネ効果でカーボンニュートラルに寄与することが期待される。
若手科学者賞 : 3名
萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満(出産・育児により研究に専念できない期間があった場合は、42歳未満)の若手研究者個人に贈られる賞です。
受賞者
小川 祐平 (おがわ ゆうへい)
構造材料研究センター
材料評価分野 鉄鋼材料グループ
主任研究員
表彰名
令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
業績名
水素環境下構造用金属の疲労き裂進展と破壊制御研究
業績概要
水素の利用が進められる中、高圧水素ガス環境下で運用される構造部材では、水素脆化の抑制が信頼性確保の鍵である。中でも実機破壊を律速する疲労き裂進展については、水素によるき裂進展加速を支配する機構の体系的理解と、設計に直結する評価基盤の確立が不可欠である。
氏は、水素ガス圧力、温度、負荷パラメータに対するき裂進展加速の依存性を、材料の結晶構造およびミクロ組織因子と関連付けて統合的に解明した。さらに、水素を脆化因子にとどめず強化因子としても活用する発想に基づき、水素適合材料設計の新たな枠組みを提示した。
本研究成果は、高圧水素ガスインフラにおける合理的な材料選択と強度設計を通じた安全性の向上、ならびに水素を活用した高性能構造材料の創製へと展開することで、水素エネルギーの社会実装加速と国民生活の安全・安心の確保に広く貢献するものと期待される。
氏は、水素ガス圧力、温度、負荷パラメータに対するき裂進展加速の依存性を、材料の結晶構造およびミクロ組織因子と関連付けて統合的に解明した。さらに、水素を脆化因子にとどめず強化因子としても活用する発想に基づき、水素適合材料設計の新たな枠組みを提示した。
本研究成果は、高圧水素ガスインフラにおける合理的な材料選択と強度設計を通じた安全性の向上、ならびに水素を活用した高性能構造材料の創製へと展開することで、水素エネルギーの社会実装加速と国民生活の安全・安心の確保に広く貢献するものと期待される。
受賞者
小澤 大知 (こざわ だいち)
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
量子材料分野 2次元系量子材料グループ
主任研究員
表彰名
令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
業績名
低次元ナノ物質における量子光機能の研究
業績概要
量子通信の実用化には、通信波長帯で室温動作し、オンデマンドで単一光子を放出できる量子光源が不可欠である。しかし、ダイヤモンド量子光源は可視光に限定され、化合物半導体量子ドットは極低温動作が必要であり、既存技術では上記の三要件の同時達成が困難であった。
氏は、カーボンナノチューブに対して独自の気相光化学反応手法を開発し、通信波長帯で室温動作する量子欠陥を1 µmあたり1個という極めて低密度で形成することに世界で初めて成功した。この化学的手法は従来の物理的手法では不可能であった原子レベルでの欠陥構造の精密制御を実現し、実用的な量子光源の開発に決定的な突破口を開いた。
本研究成果は、既存の光ファイバー通信網を活用した量子暗号通信の実現に貢献し、量子情報技術の発展を加速すると期待される。
氏は、カーボンナノチューブに対して独自の気相光化学反応手法を開発し、通信波長帯で室温動作する量子欠陥を1 µmあたり1個という極めて低密度で形成することに世界で初めて成功した。この化学的手法は従来の物理的手法では不可能であった原子レベルでの欠陥構造の精密制御を実現し、実用的な量子光源の開発に決定的な突破口を開いた。
本研究成果は、既存の光ファイバー通信網を活用した量子暗号通信の実現に貢献し、量子情報技術の発展を加速すると期待される。
受賞者
平井 孝昌 (ひらい たかまさ)
磁性・スピントロニクス材料研究センター
スピンエネルギーグループ
主任研究員
表彰名
令和8年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
業績名
外場と人工構造に基づく熱エネルギー制御に関する研究
業績概要
デバイスの集積化や高機能化が進むエレクトロニクスにおいて、発熱を効率的に制御する熱マネジメント技術の発展は、持続可能な社会の実現に必要不可欠な基盤である。
氏は、「外場」や「造形学的な人工構造デザイン」という独創的な着眼点に基づき、磁性体やプラスチックといったシンプルな物質系から、既存以上の熱エネルギー変換・輸送制御機能を創出してきた。傾斜構造や切り紙構造の導入による温度制御性能の大幅向上や、磁性体の準粒子の界面輸送を活用した新しい熱伝導制御原理の創出は、当該分野を先導する成果である。
本研究成果は、物性に対する固定観念を刷新し、物性物理や材料科学の発展に重要な知見を与えるとともに、冷却技術やエネルギーハーベスティングの高度化を通じて、情報通信機器や産業機器の高信頼化やエネルギー利用の高効率化に資すると期待される。
氏は、「外場」や「造形学的な人工構造デザイン」という独創的な着眼点に基づき、磁性体やプラスチックといったシンプルな物質系から、既存以上の熱エネルギー変換・輸送制御機能を創出してきた。傾斜構造や切り紙構造の導入による温度制御性能の大幅向上や、磁性体の準粒子の界面輸送を活用した新しい熱伝導制御原理の創出は、当該分野を先導する成果である。
本研究成果は、物性に対する固定観念を刷新し、物性物理や材料科学の発展に重要な知見を与えるとともに、冷却技術やエネルギーハーベスティングの高度化を通じて、情報通信機器や産業機器の高信頼化やエネルギー利用の高効率化に資すると期待される。