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「磁気トムソン効果」の直接観測に世界で初めて成功

~熱・電気・磁気変換現象に関する新たな物性・機能開拓へ道~

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (産総研)

NIMSは、産総研と共同で、温度差を付けた導電体に電流を流すと生じる吸熱・発熱 (トムソン効果) が磁場に依存して変化する現象「磁気トムソン効果」を直接観測することに世界で初めて成功しました。

概要

  1. NIMSは、産総研と共同で、温度差を付けた導電体に電流を流すと生じる吸熱・発熱 (トムソン効果) が磁場に依存して変化する現象「磁気トムソン効果」を直接観測することに世界で初めて成功しました。本研究により、熱エネルギーを制御するための新たな機能・技術の創出や、熱・電気・磁気変換現象に関する基礎物理および物質科学のさらなる発展が期待されます。
  2. トムソン効果は、熱電変換技術として広く研究されているゼーベック効果やペルチェ効果と並び、金属や半導体における基本的な熱電効果の1つとして古くから知られています。しかし、ゼーベック効果やペルチェ効果に対する磁場・磁性の影響は長年の研究により明らかにされてきましたが、トムソン効果が磁場や磁性にどのように依存するかは、測定・評価の難しさもあり、これまで研究が進んでいませんでした。
  3. 今回、NIMSを中心とする研究チームは、ロックインサーモグラフィー法と呼ばれる熱計測技術を用いて、導電体に温度差と磁場を与えながら、電流を流した際に生じる吸発熱現象を精密に測定しました。その結果、導電体に温度差と電流の両方に比例した吸熱・発熱が生じ、それに伴う温度変化が磁場を印加することで増強される振る舞いが観測されました。系統的な測定を行うことで、観測された吸熱・発熱信号の磁場依存性が磁気トムソン効果に由来するものであることを実証しました。今回の実験に用いたビスマス・アンチモン (BiSb) 合金における磁気トムソン効果は非常に大きな熱電能を示し、ゼーベック効果やペルチェ効果と同等の出力を示すことが明らかになりました。
  4. 本研究により、磁気トムソン効果の基本的な性質が明らかになり、その計測・評価技術が確立されました。今後、磁気トムソン効果に関する物理・材料・機能探索を進めることで、電子デバイスの効率向上・省エネルギー化に資する熱マネジメント技術への応用展開や、熱・電気・磁気の相互作用がもたらす新しい物理現象の観測を目指していきます。
  5. 本研究は、NIMS 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 スピンエネルギーグループの内田健一(別ウィンドウで開きます)グループリーダー、井口亮(別ウィンドウで開きます)主任研究員、三浦飛鳥JSPS特別研究員、産総研 省エネルギー研究部門 熱電材料物性グループの村田正行主任研究員によって行われました。本研究は主に、JSPS科学研究費助成事業 基盤研究(B) (19H02585)、JST戦略的創造研究推進事業 CREST (JPMJCR17I1)、NEDO先導研究プログラム 未踏チャレンジ2050 (P14004)の一環として行われました。本研究成果は、アメリカ東部時間2020年9月2日10時 (日本時間2日23時) にアメリカ物理学会の学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されます。また、本論文は同誌のEditors’ Suggestionに選出されています。

「プレスリリース中の図 : トムソン効果および磁気トムソン効果の概念図」の画像

プレスリリース中の図 : トムソン効果および磁気トムソン効果の概念図



掲載論文

題目 : Observation of the Magneto-Thomson Effect
著者 : Ken-ichi Uchida, Masayuki Murata, Asuka Miura, and Ryo Iguchi
雑誌 : Physical Review Letters
DOI : 10.1103/PhysRevLett.125.106601(別ウィンドウで開きます)


お問い合わせ先

(研究内容に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
磁性・スピントロニクス材料研究拠点
スピンエネルギーグループ
グループリーダー
内田 健一 (うちだ けんいち)
TEL: 029-859-2062
FAX: 029-859-2701
E-Mail: UCHIDA.Kenichi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
省エネルギー研究部門
熱電材料物性グループ 主任研究員
村田 正行 (むらた まさゆき)
TEL: 029-861-2864
FAX: 029-861-5340
E-Mail: m.murata=aist.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
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FAX: 029-859-2017
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([ = ] を [ @ ] にしてください)
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E-Mail: hodo-ml=aist.go.jp
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