IoTを駆使した超スマート社会の実現 (Society 5.0) 、さらには、持続可能な開発目標達成のための科学技術イノベーション (STI for SDGs) 推進のため、ナノテクノロジーは必要不可欠な基盤技術としてすでに定着しています。一方、コロナ禍におけるニューノーマル時代の研究開発に向け、プラットフォームの果たす役割を考えることも急務となっています。
こうした背景から、単なるリモート実験・操作に留まらない新しい発想に基づく装置とデータの利活用による研究開発力の向上が求められるところです。今回の「ナノテクノロジー総合シンポジウム」では、先端共用施設から得られる膨大なデータを中心に据えたデジタルトランスフォーメーション (DX) の新たな展開と可能性、特にマテリアル研究開発への寄与を展望します。
まず、大学の立場から「次世代プラットフォームへのメッセージ」を五神真東京大学総長から頂きます。続く特別講演では、特に重視される人材育成に視点を置き、研究基盤強化を図る展望について、自然科学研究機構の川合眞紀分子科学研究所所長からご発表頂きます。
午前の後半では、米国の施設共用と研究開発の接点に関する最新の動向について、Cornell Universityの Lynn Rathbun先生にご発表頂きます。海外招待講演の二人目は、ベルギーの Université catholique de Louvain の Gian-Marco Rignanese教授から、マテリアルデータベースの利用を助けるアプリケーションインターフェースを中心に欧州での取り組み状況を紹介していただきます。
午後は基調講演として、企業における研究現場で進み始めたデータ活用とDXについて、日立製作所の長我部様よりご発表があります。続くセッションでは、ニューノーマル時代における研究開発のあるべき姿について、北海道大学の髙橋啓介准教授、北陸先端科学技術大学院大学の谷池俊明教授、日本電子 (株) の有福和紀様より、ご発表いただきます。