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窒化ガリウム (GaN) に注入した微量元素の分布と電気的状態をナノスケールで可視化

~p型GaN半導体作成のメカニズム解明とGaNデバイス量産化に向けて大きく前進~

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)

NIMSは、窒化ガリウム (GaN) に注入した微量なマグネシウム (Mg) の分布や電気的状態を、ナノスケールで可視化することに世界で初めて成功しました。さらに本手法によって、Mgイオン注入によりGaNがp型半導体に変化するメカニズムの一端が明らかになりました。GaNパワーデバイスの量産に向けて、最適なMg注入条件の探索に大きく貢献することが期待されます。

概要

  1. NIMSは、窒化ガリウム (GaN) に注入した微量なマグネシウム (Mg) の分布や電気的状態を、ナノスケールで可視化することに世界で初めて成功しました。さらに本手法によって、Mgイオン注入によりGaNがp型半導体に変化するメカニズムの一端が明らかになりました。GaNパワーデバイスの量産に向けて、最適なMg注入条件の探索に大きく貢献することが期待されます。
  2. 省エネ化の切り札となる“GaNパワーデバイス”実現のためには、n型、p型のGaN半導体を作製する必要があります。特にp型GaN半導体の量産については、GaNウエハにMgイオンを注入して熱処理することでp型を形成する方法が有力視されているものの、添加するMgの濃度や、熱処理の温度条件によってGaNの内部でMgの分布や電気的なふるまいがどのように変化しているのか、ナノスケールで評価する方法がなく、p型が形成されるメカニズムが不明のため、GaN素子量産に向けた大きな壁となっていました。
  3. 今回、Mgイオンを注入したGaNウエハを斜めに研磨した試料にカソードルミネッセンス (発光分布評価) 法を用いることで、表面付近ではMgは活性化されておらず、表面から数十nmのところで活性化していることがわかりました。さらに、アトムプローブトモグラフィーを用いることで、Mgの濃度が高くなると、温度によってはMgが円盤状・ロッド形状に析出することがわかりました。これら最新の顕微法による解析情報を組み合わせることで、Mgを注入した表面付近では、温度条件によってはMgが析出して活性化されない可能性があることが明らかとなりました。
  4. 本研究成果により、イオン注入でのp型GaN層実現に向けた重要な指針を得ることができました。さらに本手法は、今回のように均一なウエハ上の不純物分布の解析だけでなく、さまざまな構造を持ったGaNデバイス材料にも適用でき、高性能なGaNデバイス開発を加速することが期待されます。
  5. 本研究は、NIMS技術開発・共用部門 窒化ガリウム評価基盤領域アトムプローブ・CL/EBIC・グループ、大久保忠勝グループリーダー、陳君主任研究員らの研究チームと、富士電機(株)技術開発本部先端技術研究所材料基礎技術研究センター江戸雅晴先端材料技術研究部長らの研究チームによって、文部科学省事業「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発 (評価基盤領域) 」の一環として行われました。
  6. また、本研究成果の一部は、日本応用物理学会発行のApplied Physics Express誌にて2019年4月11日にオンライン掲載されました。

プレスリリース中の図

プレスリリース中の図 :
(左) Mgイオン注入GaNのカソードルミネッセンス分析結果
(右) アトムプローブトモグラフィーで得られたMgイオン注入GaN中Mgの3次元原子マップ



掲載論文

題目 : Cathodoluminescene study of Mg implanted GaN: The impact of dislocation on Mg diffusion
著者 : Jun Chen, Wei Yi, Takashi Kimura,Shinya Takashima, Masaharu Edo, Takashi Sekiguchi
雑誌 : Applied Physics Express
掲載日時 : 2019年5月1日発行号 (Vol. 12, Number 5)
DOI : 10.7567/1882-0786/ab14cb

関連論文

題目 : Comparative Analysis of Defects in Mg-Implanted and Mg-Doped GaN Layers on Freestanding GaN Substrates
著者 : A. Kumar, K. Mitsuishi , T. Hara, K. Kimoto, Y. Irokawa, T. Nabatame, S. Takashima, K. Ueno, M. Edo, Y. Koide
雑誌 : Nanoscale Research Letters
掲載日時 : 2018年11月11日発行号 (Vol. 13)
DOI : 10.1186/s11671-018-2804-y


本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
技術開発・共用部
窒化ガリウム評価基盤領域
CL/EBIC/アトムプローブグループ
大久保 忠勝 (おおくぼ ただかつ)
TEL: 029-859-2716
E-Mail: OHKUBO.Tadakatsu=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

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