令和4年度 全国発明表彰「未来創造発明賞」を樋口昌芳グループリーダーが受賞

2022.07.12


公益社団法人 発明協会「全国発明表彰」において「未来創造発明賞」が、NIMS 機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ 樋口昌芳 グループリーダーに、また当受賞に伴い「未来創造発明貢献賞」がNIMS代表者の 宝野和博 理事長に贈られました。

「表彰式での記念写真。【写真左】林灯博士、【写真中央】樋口昌芳グループリーダー、【写真右】知京豊裕部門長(理事長の代理出席)」の画像

表彰式での記念写真。【写真左】林灯博士、【写真中央】樋口昌芳グループリーダー、【写真右】知京豊裕部門長(理事長の代理出席)



樋口昌芳グループリーダーが林灯博士 (現 九州大学教授) 、Dirk G. Kurth博士 (現 ドイツWürzburg大学教授) と共同で発明した「超低消費電力型多彩エレクトロクロミック材料 」が令和4年度 全国発明表彰「未来創造発明賞」を受賞しました。

全国発明表彰は、日本国内における科学技術の振興、産業経済の発展に大きく貢献している発明等に関し、功績のあった者を顕彰するもので、大正8年に科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的に始まったものです。

「未来創造発明賞」は、科学技術的に秀でた進歩性を有し、かつ、中小・ベンチャー企業、大学及び公設試験研究機関等の研究機関に係る発明等が対象となり、特に優秀と認められる発明等に贈呈されます。

令和4年度全国発明表彰式が、常陸宮殿下の御臨席のもと、令和4年6月30日にThe Okura Tokyo プレステージタワー1階「平安の間Ⅱ・Ⅲ」にて挙行されました。

また、当発明の受賞に伴い「未来創造発明貢献賞」が、NIMS代表者の宝野和博 理事長に贈られました。未来創造発明貢献賞は、未来創造発明賞もしくは未来創造発明奨励賞を受賞する発明等が法人におけるものである場合に、当該法人の代表者に贈呈される賞です。


全国発明表彰 未来創造発明賞

発明名称

超低消費電力型多彩エレクトロクロミック材料

受賞者

樋口 昌芳
NIMS 機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ・グループリーダー
林 灯
国立大学法人九州大学 エネルギー研究教育機構/工学府水素エネルギーシステム専攻 教授
Dirk G. Kurth
Julius-Maximilians-Universität of Würzburg, Faculty of Chemistry and Pharmacy, Professor

発明内容

エレクトロクロミック材料とは電気化学的酸化還元により可逆に色を変える材料であり、調光ガラス窓として太陽光の効果的な遮光を実現します。開発した新材料 (メタロ超分子ポリマー) は、金属の電気化学的酸化還元によって、金属錯体の電荷移動吸収に基づく発色が出現/消失することで色変化します。吸収のモル吸光係数が数万以上と大きいため、数百ナノメートルの極薄膜で大きな透過率変化を示します。電源を切った後もその時の着色状態が保持されるメモリ性があり、超低消費電力で駆動します。金属の安定な酸化還元特性に基づいて10万回を超える高い繰り返し駆動安定性を有します。また、金属や配位子の種類を変えることで、極めて多彩な色に調整できます。更に本材料は塗布で製膜できるため、電極基板にガラスだけでなくプラスチックフィルムも選択でき、フレキシブル調光フィルムデバイスも作製可能です。今後調光デバイスとして幅広い普及が期待されます。

全国発明表彰 未来創造発明貢献賞

受賞者

宝野 和博
NIMS 理事長