平成29年度文部科学大臣表彰をNIMS職員が受賞

2017.04.19
(2017.04.25 更新)


平成29年4月19日、平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の表彰式が行われ、NIMS職員4名が表彰されました。

この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果をおさめた人々の功績をたたえることで、科学技術に携わる人々の意欲向上を図り、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的として文部科学省が定めたものです。

科学技術賞 (研究部門)

我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行った者を対象に贈られる賞です。

【業績名】
六方晶窒化ホウ素の高純度化による電子材料への応用研究

【受賞者】
谷口 尚 (機能性材料研究拠点 機能探索分野 超高圧グループ グループリーダー)
渡邊 賢司 (機能性材料研究拠点 電気・電子分野 電子セラミックスグループ 主席研究員)

「渡邊 賢司 (※谷口 尚は、出張のため欠席)」の画像

渡邊 賢司 (※谷口 尚は、出張のため欠席)



「六方晶窒化ホウ素の高純度化による電子材料への応用研究」

耐熱・摺動材料として実用に供されている六方晶窒化ホウ素はよく知られた物質ではありますが、高純度単結晶の合成例の報告は無く電子材料としての可能性は未解明でした。本物質が熱的・化学的に安定な原子的平面構造からなる特色ある層状化合物であることから、新たな電子材料としての可能性に着目しました。
本研究では、高輝度遠紫外線発光を呈する六方晶窒化ホウ素高純度単結晶の高圧合成に成功し、これを量産化可能な常圧合成法に展開しました。さらに、本材料による水銀レス環境対応型遠紫外線発光源プロトタイプを創製し有用性を明らかにしました。また、本結晶はグラフェン等の2 次元原子層材料の原子レベルの平坦性絶縁基板、絶縁膜、保護膜に優れた特性を示すことを見出しました。
本研究により、2次元層状材料の新たな発光材料および2次元電子系物理学への応用が展開され、業績は世界的に高く評価されており、2 次元原子層科学の進歩に多大な貢献をしています。

本成果は、本物質の特色ある特性を利用した2次元原子層科学による新しい素子原理提案を促進しており、ナノエレクトロニクスおよびナノフォトニクスにおける優れたデバイ スの実現に寄与することが期待されています。

理解増進部門

少年をはじめ広く国民の科学技術に関する関心及び理解の増進等に寄与し、又は地域において科学技術に関する知識の普及啓発等に寄与する活動を行った者を対象に贈られる賞です。

【業績名】
卓越した映像制作とその話題性を用いた新戦略による理解増進

【受賞者】
小林 隆司 (経営企画部門広報室 室長)

「小林 隆司」の画像

小林 隆司



「卓越した映像制作とその話題性を用いた新戦略による理解増進」

物質・材料は最終製品から見えにくく、理論も難解なため理解を進めづらい分野です。しかし、産業競争力の観点でも次世代への効果的な広報手法が強く求められてきました。 本活動では、YouTube に専用チャンネル「まてりあるs’ eye」を開設し、材料系の予備知識を一切必要とせず、代わりに『研究現場の迫力』『物理科学現象の興味深さ』『材料の美しさ』によって興味を最大限引き出す高度な構成を貫いた動画を受賞者一人で92本以上自主制作。その結果、質の高いファンの指標である「登録者数」を急増させ、開始1年半で主要研究機関や全国立大学を抜きJAXA に次ぐ第2位にまで押し上げました。さらに、この人気動画を「メディア売り込みツール」「企業向け研究成果紹介ツール」「メルマガ登録ツール」などに展開。その結果、テレビ放映数増加やイベント集客数最多記録の連続更新などを達成。全国の教育機関から教材としての要望も相次ぎ、また、企業連携の促進、外部資金獲得に利用されるなど、当初想定した以上のマルチ展開に成功しています。
本活動により、従来、材料分野と縁遠かった中高生および若手女性ファン層の顕著な拡大を果たし、次世代の若者に材料分野への関心を喚起することに寄与しています。

若手科学者賞

萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象に贈られる賞です。

【業績名】
ホイスラー合金系ハーフメタルにおけるスピン依存伝導の研究

【受賞者】
櫻庭 裕弥 (磁性・スピントロニクス材料研究拠点 主任研究員)

「櫻庭 裕弥」の画像

櫻庭 裕弥



「ホイスラー合金系ハーフメタルにおけるスピン依存伝導の研究」

スピントロニクスは、電子の持つ電荷とスピンの双方の自由度を利用することによる、従来エレクトロニクスでは実現し得なかった高い機能性を有するデバイスの創製を目指しています。しかし、実用デバイスの実現のためには、磁気抵抗効果等の電子スピンに依存した輸送現象を飛躍的に向上させる材料のブレークスルーが強く求められています。
櫻庭は、ホイスラー合金系ハーフメタル材料の高いスピン分極率を、世界で初めて実証するとともに、そのスピン依存伝導特性に関する系統的研究から、ハーフメタルを利用したスピンエレクトロニクスデバイス創製の基礎を築き上げました。
本研究成果は、室温高スピン分極ホイスラー合金を利用した超高感度センサー素子等の革新的スピンエレクトロニクスデバイスの実現に大きく貢献することが期待されます。

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