講演要旨
強いスピン軌道相互作用によりスピン偏極した電子のスピン方向はその運動量によって決まる。本研究ではレーザーを用いたスピン・角度分解光電子分光によりBi 及びBi2Se3 のスピン偏極表面状態から光励起された電子のスピン構造を調べた。その結果、p 偏光とs偏光では観測されるスピンの向きが反転することを見出した。これは対称・反対称な軌道波動関数を持つ電子は互いに反対向きのスピンと結合し、系の電子状態はこれらの線型結合で表されることを意味する。また、入射光の偏光を操作し上向きスピン電子と下向きスピン電子を同時励起すると、光励起過程におけるスピン干渉によりスピンベクトルの向きを自在に制御できることを実証した。