元職員による架空業者への不正発注について

2023.06.16


国立研究開発法人物質・材料研究機構

国立研究開発法人物質・材料研究機構 (以下「機構」という) は元職員の不正行為について情報提供を受け内部調査を進めていましたが、下記のとおり不正行為を認定し処分を行いましたので、お知らせいたします。なお、個人が特定される情報及び特定につながる情報は公表対象外となりますので、ご承知置きください。

  1. 不正行為の概要
    当該元職員は、機構の室長職にあった当時、事業実態のない架空の個人事業主 (以下「架空業者」という) を債主登録した上で、調達部署の承認手続きを要しない少額契約 (※1) 又は経費申請 (※2) の手続きにより、機構業務を架空業者に繰り返し発注する形を装い、実際には元職員が自ら業務を行い納品することにより、当該業務委託料を私的に受領していた。当該不正発注は2015年度から2021年度までの7年間にわたり行われ、発注件数及び金額は計69件 (総額27,248,500円) であった。
    ※1 1件50万円未満で、予算管理を行う者の権限で業者選定と契約承認が可能な調達手続き。
    ※2 競争性がなく入札等に適さない調達や諸謝金等の支払いを行う際の手続き。少額契約で源泉徴収が必要な調達もこの手続きで処理される。
  2. 非違行為者に対する処分等
    1. 当該元職員の不正行為は懲戒解雇相当 (※) と認定し、退職金を全額不支給とする処分を実施した。
    2. 予算承認権限を有していなかったものの、管理監督責任として、当該元職員の当時の上長に対して、厳重注意の人事措置を講じた。
    ※元職員は死亡により退職したため懲戒処分は実施していない。
  3. 是正措置
    元職員の不正行為により機構に生じた損害額 (遅延損害金を含む) の返還請求を行う。
  4. 再発防止策
    これまで少額契約においては2019年1月より、源泉徴収を必要とする経費申請においては2023年4月より、調達部署の発注承認が必須となり、当該経費申請の承認の際には開業届 (控) の写し及び直近の確定申告書の写しの提出を求め、個人事業主の事業実態を確認する制度改正が行われている。今後さらに以下の防止策を実施する。
    1. 少額契約の役務における検収の強化
      実態のない不正発注の防止・抑制強化のために、受注業者等に対し、業務完了時の検収の際に詳細な作業内容報告書の提出を義務付ける。
    2. 個人事業主の債主登録の厳格化
      個人事業主の新規登録時の事業実態の確認を徹底する。
    3. 複数回発注者等に対するモニタリングの強化
      不正発注の防止・抑制強化のため、同一業者に対して繰り返し発注を行う発注者 (要求者) 及び予算管理者に対するヒアリング等によるモニタリングを実施する。
    4. コンプライアンス研修等の実施
      上記 (1) ~ (3) の再発防止策を、実効性をもって着実に実施するため、機構の全役職員に対し、機構の調達に係る制度理解の徹底、及びコンプライアンス意識向上のための研修等を実施する。

理事長コメント

元職員が在職中に行った不正行為は、機構職員としてあるまじき行為であり、決して許されるものではありません。職員が国立研究開発法人としての信頼を失墜させる行為を行ったことは誠に遺憾であり、国民の皆様に深くお詫び申し上げます。

当機構ではかねてよりコンプライアンス違反防止のための取組みを推進してきたところですが、今回の事態を真摯にかつ重く受け止め、不正行為の防止策を強化し、コンプライアンス意識向上に向けた更なる啓発活動により、職員によるコンプライアンス遵守の徹底を図ってまいります。

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 理事長 宝野 和博


問い合わせ先

国立研究開発法人物質・材料研究機構
人材部門長 阿部好夫
電話 : 029-859-2665