超高分子量ポリマーの絡み合いで簡便に創製できる自己修復ゲルを開発

~循環型経済への適応や高耐久フレキシブルデバイス用材料への応用に期待~

国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)
国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST)
国立大学法人北海道大学
国立大学法人山口大学

NIMS、北海道大学大学院生命科学院、および山口大学からなる研究チームは、巨大タンパク質や天然ゴムなどに匹敵する100万を越える分子量を持つ超高分子量ポリマーと不揮発なイオン液体からなる自己修復ゲル材料を、極めて簡便に創製する手法を開発しました。

概要

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) 、北海道大学大学院生命科学院、および山口大学からなる研究チームは、巨大タンパク質や天然ゴムなどに匹敵する100万を越える分子量を持つ超高分子量ポリマーと不揮発なイオン液体からなる自己修復ゲル材料を、極めて簡便に創製する手法を開発しました。このポリマーはリサイクル性に優れ、循環型経済に資するだけでなく、IoT基盤技術に必須の高耐久性フレキシブルデバイス用イオン伝導材料への応用が期待されます。
  2. 自発的に損傷部分を修復することで耐久性を向上させる自己修復高分子材料は、循環型経済の観点から大きな注目を集めています。近年、例えば水素結合の様に可逆に結合・解離を繰り返す特殊な官能基を高分子ネットワークに導入するといった化学的なアプローチによる研究が盛んに進められていましたが、そのような自己修復材料ではしばしば精密な合成手法や複雑な製造プロセスを要求される場合がありました。一方で、高分子鎖の絡み合いといった高分子材料が普遍的に持つ特徴を利用した物理的アプローチによる汎用性のより高い自己修復高分子に関する研究は殆ど行われていませんでした。
  3. 今回研究チームは、イオン液体中では重合反応が効率良く進む特性を利用することで、非常に分子量が高い高分子の絡み合いから形成される「超高分子量ゲル」を簡便に創製する手法を見出しました。化学架橋剤を用いた従来のゲルと比較して、この超高分子量ゲルは優れた力学特性を示し、熱成型によるリサイクルも可能となります。さらに超高分子量ゲルは室温で高い自己修復機能を示しました。
  4. リサイクル性および自己修復性を持つゲル材料を簡便かつ汎用的な方法で創製できる本研究成果は、循環型経済の観点から重要であると考えられます。また不揮発・不燃性なイオン液体を溶媒とする高分子ゲルは、フレキシブルエレクトロニクスに用いる安全なイオン伝導材料として有望視されます。
  5. 本研究は主に国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「力学機能のナノエンジニアリング」における研究課題「超高分子量ポリマーに基づく新奇機能開拓 (JPMJPR2196) 」 (研究者 : 玉手亮多) の研究の一環として行われました。また研究の一部では日本学術振興会 科学研究費助成事業 (20K15349、21H05604、21H02006、20H02804、20K21229) 、および松籟科学技術振興財団の研究助成事業の支援を受けました。
  6. 本研究成果は、Science Advances誌の2022年10月19日発行号 (Vol. 8) にて掲載されます。

「プレスリリース中の図 :  (a)ラジカル重合の重合開始剤濃度と得られたポリマーの分子量・モノマー転化率の関係。(b)超高分子量ゲルの写真および模式図。」の画像

プレスリリース中の図 : (a)ラジカル重合の重合開始剤濃度と得られたポリマーの分子量・モノマー転化率の関係。(b)超高分子量ゲルの写真および模式図。



掲載論文

題目 : Highly stretchable and self-healable polymer gels from physical entanglements of ultrahigh molecular weight polymers
著者 : Yuji Kamiyama, Ryota Tamate, Takashi Hiroi, Sadaki Samitsu, Kenta Fujii, Takeshi Ueki
雑誌 : Science Advances
掲載日時 : 2022年10月19日
DOI : 10.1126/sciadv.add0226


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(研究内容に関すること)

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独立研究者
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([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

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