近年の環境・気候問題、新型コロナウイルス感染症の世界的流行など、地球規模の課題が顕在化する中、持続可能な開発目標 (SDGs) の重要性が高まっています。同時に、超スマート社会実現 (Society 5.0) に向け、様々な分野でデジタルトランスフォーメーション (DX) の推進が叫ばれています。
これまで、「ナノテクノロジープラットフォーム」では、先端設備を広く共用することで、日本の科学技術振興を下支えしてきており、最終年度を迎えこれまでの10年間の成果を総括します。さらに、マテリアル革新力強化を目指し、マテリアル開発分野にもDX革命を取り入れるべく新たに立ち上げられた、「マテリアル先端リサーチインフラ」によってもたらされる未来を俯瞰します。
講演セッション1では、ナノテクノロジープラットフォームを構成する3つのプラットフォームおよびセンター機関による、事業開始から10年間を振り返った成果のあらましを総括します。
講演セッション2では、基調講演として、「マテリアル革新力強化に向けたマテリアルDXプラットフォームへの期待」と題して、岸輝雄新構造材料技術研究組合理事長からご講演いただきます。続いて、特別講演として、ロボットによる実験機器ジョイントの近未来を提唱する一杉太郎東京工業大学教授から、「マテリアル先端リサーチインフラが牽引するリサーチトランスフォーメーション〜実験装置に加え、データ・知識の共有へ〜」をご講演いただきます。海外招待講演としては、海外におけるデータ活用事例として米国NISTのMartin Green博士から次期マテリアルゲノム計画について、さらにドイツフンボルト大学のClaudia Draxl教授よりヨーロッパにおけるデータインフラの新しい取り組み (FAIRmat) についてご紹介いただきます。
講演セッション3では、「マテリアル戦略におけるデータ利活用の重要性」と題し、産学官それぞれの立場から現状と将来展望をお話しいただきます。最初は、鈴村豊太郎教授から東大におけるデータ活用社会創成プラットフォーム「mdx」への取り組みとその将来像について、次に出村雅彦博士から物質・材料研究機構におけるデータ中核拠点の取り組みについて、さらに、早稲田大学一村信吾教授より出力データフォーマットの標準化についてご講演いただきます。