令和3年度「秀でた利用成果」の発表について

文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム

2021.12.20


文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム
国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS) ナノテクノロジープラットフォームセンター

文部科学省ナノテクノロジープラットフォームは、昨年度までの約27,000件の利用課題の中からイノベーションに繋がることが期待できるなど特に秀逸な成果を選定、令和3年度「秀でた利用成果」7件を決定しました。最優秀賞には、シリコンと金属材料という汎用的な材料だけを用いて、表面プラズモン共鳴を検出できるナノ構造と、振動するMEMS構造を合わせ持つようにナノレベルの微細加工を施すことにより、検出波長を自由に選択出来る小型で高性能な赤外線センサを開発した課題が選ばれました。

「秀でた利用成果」の概要

ナノテクノロジープラットフォーム事業は、文部科学省の委託により、最先端のナノテクノロジー施設・装置を有する25研究法人が、全国の産学官の研究者へ利用機会を提供、知識を共有することにより、イノベーションにつながる研究成果の創出を目指しています。

毎年約3,000件、昨年度までの9年間で約27,000件の利用がありますが、今回37の実施機関から優れた利用成果として提出された51件の候補から、佐藤勝昭プログラムディレクターを主査とする9名からなる選定委員会の審査により、7件の「秀でた利用成果」を選定しました。

選定にあたっては、①ナノテクノロジープラットフォームの活用・支援が大きな効果をもたらしたもの、②イノベーションの創出にあたって大きな影響が期待できるもの、③産業界・大学・公的機関の連携により大きな成果が得られたもの、という3つの基準を設けて厳正に審査しました。

令和3年度「秀でた利用成果」の授賞式は、1月26日13時から、nanotech 2022* (会場 : 東京ビッグサイト) 会場のひとつである会議棟7F、703会議室にて行われます。

*nanotech 2022 :
2022年1月26日~28日東京ビックサイトにて開催される世界最大規模のナノテクノロジーに関する展示会。
詳しくは公式サイト「http://www.nanotechexpo.jp/main/」をご覧ください。


令和3年度「秀でた利用成果」最優秀賞受賞課題

微細加工プラットフォーム : 東京大学

「プラズモニック構造を利用したシリコンMEMSモノリシック赤外SPR分光センサ」

ユーザー氏名 :
菅 哲朗, 大下 雅昭, 安永 竣  (電気通信大学)

実施機関担当者 :
澤村 智紀, Eric Lebrasseur, 藤原 誠, 岡本 有貴, 水島 彩子, 宇佐美 尚人, 肥後 昭男, 太田 悦子, 三田 吉郎  (東京大学)

汎用的な材料であるシリコンと金属材料だけを用いて、表面プラズモン共鳴を検出できるナノ構造と、振動するMEMS構造を合わせ持つようにナノレベルの微細加工を施された、新しい発想の赤外線センサを開発した。両者の構造を組み合わせたデバイスは世界的に例がない。材料表面をプラズモニック構造に加工することにより、本来、シリコンでは検出できない赤外線を電気信号として検出することが可能になった。また、材料をMEMS構造とし振動させることにより、検出波長や偏光を自由に検出することが可能になった。半導体に広く使われているシリコンを使用していること、複雑な製造プロセスではなくMEMSの加工工程により製造できること、それ故に小型であることなどの特徴がある。これらの特徴により赤外線センサとして既に多種多様な分野へ応用展開が進められている。医療、セキュリティ、効率的な生産など、安全・安心を求めるSDGsの目指す社会にふさわしい新しいデバイス開発である。


令和3年度「秀でた利用成果」優秀賞受賞課題

(1) 微細構造解析プラットフォーム : 東京大学

「生体内分子機械シャペロニンGroELによるナノ構造」

ユーザー氏名 :
柏木 大樹a, 沈 皓a, 田口 英樹b, 丹羽 達也b, 相田 卓三a, c   (a東京大学, b東京工業大学, c理化学研究所)

実施機関担当者 :
木村 鮎美  (東京大学)

(2) 微細構造解析プラットフォーム : 九州大学

「非平衡合成による多元素ナノ合金の原子分解能構造解析」

ユーザー氏名 :
北川 宏, 草田 康平, 吴 冬霜  (京都大学大学院理学研究科)

実施機関担当者 :
鳥山 誉亮, 山本 知一, 松村 晶  (九州大学)

(3) 微細加工プラットフォーム : 物質・材料研究機構

「分光・偏光・RGB同時撮影のためのフォトニックナノ構造体の開発」

ユーザー氏名 :
篠田 一馬  (宇都宮大学)

実施機関担当者 :
大里 啓孝  (物質・材料研究機構)

(4) 分子・物質合成プラットフォーム : 名古屋大学

「ヘテロ原子を含有する光感受性化合物の構造決定と抗がん光線力学療法への応用」

ユーザー氏名 :
野元 昭宏a, 矢野 重信b, 片岡 洋望c  (a大阪府立大学工学, b奈良女子大学共生科学, c名古屋市立大医学)

実施機関担当者 :
鳥居 実恵, 林 育生, 伊藤 始, 坂口 佳充 (名古屋大学)

(5) 分子・物質合成プラットフォーム : 名古屋工業大学

「金ナノ構造を用いた新型コロナウイルスの超高感度高速検出」

ユーザー氏名 :
Yong Yang  (Shanghai Institute of Ceramics,  Chinese Academy of Science)

実施機関担当者 :
種村 眞幸  (名古屋工業大学)

(6) 分子・物質合成プラットフォーム : 自然科学研究機構・分子科学研究所

「無機系キラル結晶におけるキラル誘起スピン選択性」

ユーザー氏名 :
乾 皓人a, 青木 瑠也a, 塩田 航平a, 高阪 勇輔a, 宍戸 寛明a, 大江 純一郎b, 岸根 順一郎c, 戸川 欣彦a
(a大阪府立大学, b東邦大学, c放送大学)

実施機関担当者 :
廣部 大地, 山本 浩史  (自然科学研究機構・分子科学研究所)

本件に関するお問い合わせ先

(文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム「秀でた利用成果」に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
ナノテクノロジープラットフォームセンター 運営室長
吉原 邦夫 (よしはら くにお)
TEL: 029-859-2777
E-Mail: NTJ_info=nanonet.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
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