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合金設計技術を応用してマグネシウム金属電池の容量向上に成功

~構造材開発の知見を電池に活かす 低コストかつ大容量蓄電池の実現へ前進~

国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (NIMS)
国立研究開発法人 科学技術振興機構 (JST)

NIMSは、従来の材料よりも電気化学的活性に優れるマグネシウム合金材を開発し、マグネシウム金属電池の容量を約20%向上させることに成功しました。

概要

  1.  NIMSは、従来の材料よりも電気化学的活性に優れるマグネシウム合金材を開発し、マグネシウム金属電池の容量を約20%向上させることに成功しました。これまで手付かずだった負極材の開発の方向性を示したことで、低コストかつ大容量なマグネシウム金属電池のさらなる性能向上が期待されます。
  2. 風力や地熱、太陽光など再生可能エネルギーや、発電所から生じる余剰電力を有効活用するためには、これらのエネルギーを貯蔵し、必要なときに供給できる大容量の蓄電池が必要です。現状のリチウムイオン電池は、コバルトやリチウムなど希少な金属が使われており、大型化には膨大なコストがかかります。そこで注目されているのがマグネシウム金属電池です。マグネシウムは地殻埋蔵量がリチウムの1700倍以上であるため安価で、かつ多くの電気エネルギーを貯蔵できます。しかしマグネシウムは加工しにくい金属のため、マグネシウム金属が使われる負極に対する研究はほとんど実施されておらず、マグネシウムの扱いにくさが電池としての特性向上を妨げる大きな要因となっていました。
  3. 今回、マグネシウム電池電解質開発を専門とする研究者と、構造材料としてのマグネシウム合金の開発を専門とする研究者が共同研究を展開し、電池特性を向上させるマグネシウム合金の探索を行いました。その結果、結晶方位を制御し、20 μm程度の微小な結晶粒で構成されたマグネシウム金属材に、原子濃度0.3%という極微量の異種金属を添加することで、電気化学的な活性を大きく向上させることに成功しました。例えば、カルシウム (Ca) を添加した合金材 (Mg-Ca) を負極に用いた電池を試作しその特性を評価したところ、純マグネシウム金属 (pMg) を用いた電池と比較して、容量が約20 %向上しました。これは、マグネシウム金属の合金化と組織制御で電池特性の改善を達成した、世界初の成果です。
  4. 本研究により、マグネシウム金属電池の電池特性の改善に、冶金学的アプローチが有効であることが分かりました。マグネシウム金属は、構造材料分野で精力的に研究されてきた材料です。今後この成果をもとに、大容量マグネシウム金属電池の実現に向けて、金属組織構造の最適化に取り組んでいきます。
  5. 本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点の万代俊彦(別ウィンドウで開きます)主任研究員および構造材料研究拠点の染川英俊(別ウィンドウで開きます)グループリーダーにより、JST戦略的創造研究推進事業 先端的低炭素化技術開発・特別重点技術領域「次世代蓄電池」 (ALCA-SPRING) の一環として行われました。本研究成果は、英国王立化学会誌「Chemical Communications」にて現地時間2020年9月25日にオンライン公開されました。また、本成果は10月13日に発刊される雑誌 (vol 56 issue 81) の表紙を飾ることが決まっております。

「プレスリリース中の図 :  (左)  開発Mg-Ca合金材の写真  (中央) 開発材の微細組織観察例  (右) pMgおよびMg-Ca材を負極に用いた電池の充放電試験結果。」の画像

プレスリリース中の図 : (左) 開発Mg-Ca合金材の写真  (中央) 開発材の微細組織観察例  (右) pMgおよびMg-Ca材を負極に用いた電池の充放電試験結果。



掲載論文

題目 : Metallurgical approach to enhance electrochemical activity of magnesium anodes for magnesium rechargeable batteries
著者 : T. Mandai and H. Somekawa
雑誌 : Chemical Communications, Royal Society of Chemistry
掲載日時 : 英国時間2020年9月25日オンライン公開
DOI : 10.1039/D0CC05373B(別ウィンドウで開きます)


お問い合わせ先

(研究内容に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ
主任研究員
万代俊彦 (まんだい としひこ)
TEL: 029-860-4464
E-Mail: MANDAI.Toshihiko=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(※万代が不在時の担当)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
構造材料研究拠点 軽金属材料創製グループ
グループリーダー
染川英俊 (そめかわ ひでとし)
TEL: 029-859-2473
E-Mail: SOMEKAWA.Hidetoshi=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(報道・広報に関すること)

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 科学技術振興機構
広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
TEL: 03-5214-8404
FAX: 03-5214-8432
E-Mail: jstkoho=jst.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

(JST事業に関すること)

国立研究開発法人 科学技術振興機構
未来創造研究開発推進部 低炭素研究推進グループ
大矢克 (おおや まさる)
TEL: 03-3512-3543
E-Mail: alca=jst.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)

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