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数万気圧環境下での中性子3次元偏極解析に世界で初めて成功

~完全非磁性の高圧セル開発で実現 圧力下でのスピン配列の解明に期待~

国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (JAEA)

NIMSは、JAEAなどと共同で、完全に非磁性体で作られた高圧力セルを開発し、数万気圧という特殊な環境において物質の電子スピン配列1を詳細に解析できる中性子3次元偏極解析実験に世界で初めて成功しました。

概要

  1. NIMSは、JAEAなどと共同で、完全に非磁性体で作られた高圧力セルを開発し、数万気圧という特殊な環境において物質の電子スピン配列を詳細に解析できる中性子3次元偏極解析実験に世界で初めて成功しました。さらにこの実験により、圧力を加えると、 PC用次世代メモリ材料として期待されるマルチフェロイクス材料に変化する物質を見出しました。今後、様々な物質・材料において、圧力による電子スピン配列の変化の解明や、スピン制御による新材料開発への発展が期待されます。
  2. 近年、物質の磁気的性質の起源である電子のスピンを制御することで、マルチフェロイクス材料などの新しい機能性材料の開発が進んでいます。その開発には、物質内のスピンの配列を観測する中性子回折実験が不可欠であり、特に精密なスピン配列の評価には、中性子3次元偏極解析と言われる中性子スピンの向きを3次元的に制御し、解析する手法が使われています。しかしこの手法では、中性子スピンの偏極率を維持するために、試料空間を完全無磁場状態に保つ必要があります。従来の高圧力下実験で用いる高圧力セルは、磁束を発生する磁性体材料で作られているため、高圧力下実験は不可能でした。
  3. 今回、NIMSを中心とする研究チームは、従来の高圧セルで用いられている磁性体材料を、非磁性のダイアモンドナノ粒子からできた複合材料に置き換えることで、完全に非磁性体材料で作られた高圧セルを開発しました。そして、高圧力セルによって中性子スピンの偏極率が低下させられないことを確かめました。さらに、大気圧・無磁場下では強誘電性を示さない物質が、数万気圧という圧力を加えることによって、強誘電性を示すマルチフェロイクス材料に変化することを見出しました。
  4. 今回開発した手法は、マルチフェロイクス材料だけでなく、超伝導材料などの、スピン配列と機能に密接な関係がある機能性材料に対しても応用できると期待されます。
  5. 本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 中性子散乱グループの寺田典樹主任研究員と、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 物質科学研究センター 多重自由度相関研究グループの長壁豊隆グループリーダー、およびフランスのラウエ・ランジュバン研究所 (Institut Laue Langevin) との共同研究の成果です。本研究の一部はJSPS科研費15H05433の支援を受けて行われました。
  6. 本成果は、英国科学誌Nature Communicationsオンライン版に平成30年10月22日に掲載されます。

「プレスリリース中の図 :  (左) 中性子3次元偏極解析実験用に開発された完全非磁性ハイブリッドアンビルセル (右) 高圧力環境下で強誘電性が発現しマルチフェロイクス材料に変化するデラフォサイト鉄酸化物CuFeO2の温度と圧力の磁気誘電相図。」の画像

プレスリリース中の図 :
(左) 中性子3次元偏極解析実験用に開発された完全非磁性ハイブリッドアンビルセル
(右) 高圧力環境下で強誘電性が発現しマルチフェロイクス材料に変化するデラフォサイト鉄酸化物CuFeO2の温度と圧力の磁気誘電相図。



掲載論文

題目 : Spherical Neutron Polarimetry under High Pressure for a Multiferroic Delafossite Ferrite
著者 : Noriki Terada, Navid Qureshi, Laurent C. Chapon, and Toyotaka Osakabe
雑誌 : Nature Communications
掲載日時 : 2018年10月22日18時 (日本時間)


本件に関するお問合せ先

(研究内容に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
先端材料解析研究拠点
中性子散乱グループ 主任研究員
寺田典樹 (てらだのりき)
TEL: 029-860-4627
E-Mail: TERADA.Noriki=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
原子力科学研究部門 物質科学研究センター
多重自由度相関研究グループ
グループリーダー
長壁豊隆 (おさかべとよたか)
TEL: 029-282-6094
E-Mail: osakabe.toyotaka=jaea.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
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広報部報道課
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