「あらゆるモノ」がインターネットにつながるIoTにおいては、モノから情報を取得すること (センシング) が非常に重要です。これらのセンシングデバイスが至る所で長期間にわたって動作するためには、高性能な電池が必要不可欠です。今回、両者が実用化を目指すリチウム空気電池は、空気中の酸素と化学反応することでエネルギーを生成し、これまでのリチウムイオン電池に比べ、重量エネルギー密度が5倍以上となる理論上究極の蓄電池です。この電池は来るべきIoT時代に向けて、さまざまなセンシングデバイスやウエアラブルデバイスなどにも長時間装用、駆動ができる軽量な電池として非常に親和性が高いことに加え、大容量の特性を生かしてドローンなどの飛行物体、ロボティクス分野などあらゆる産業への拡張性を持つ電池となることが大いに期待されています。今後両者は、リチウム空気電池の研究開発を重ね、2025年ごろの実用化を目指します。
ソフトバンクは、第1弾となるリチウム空気電池の共同研究の他に、当センターでの活動を通して、センシングやウエアラブル分野、飛行体分野などにおけるIoT時代に欠かせないさまざまな技術開発を加速させ、さらなる情報革命を進めていきます。NIMSは、今回のソフトバンクとの連携がNIMSの基礎研究の成果が企業との実用化研究に結び付く好例と捉えており、「2025年までに大学・研究開発法人等に対する企業の投資額を2014年の水準の3倍とする」政府目標に沿ったものと考えています。また、今後リチウム空気電池の研究開発を加速させ、政府目標であるSociety 5.0の実現に貢献していきます。なお、当センターで共同研究を行うリチウム空気電池は、文部科学省委託事業「統合型材料開発プロジェクト」による基礎研究の成果を、国立研究開発法人 科学技術振興機構「先端的低炭素化技術開発プログラム‐特別重点領域『次世代蓄電池 (ALCA-SPRING) 』」で発展させたものを基としています。