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粘土鉱物中のセシウム吸着場所をNMRで特定

~セシウムの土壌固定化メカニズム解明へ前進~

国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)

NIMSの研究チームは、粘土鉱物が「エッジ」に空間を持つ時に、強くセシウムが吸着する場所が少なくとも2つあることを、人工的にエッジ空間を作り出した粘土鉱物を用いて初めて明らかにしました。

概要

  1. 国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 極限計測分野 強磁場NMRグループ・丹所正孝 (たんしょまさたか) 主幹研究員および機能性材料研究拠点 機能性粘土材料グループ・田村堅志 (たむらけんじ) グループリーダーらからなる研究チームは、粘土鉱物が「エッジ」に空間を持つ時に、強くセシウムが吸着する場所が少なくとも2つあることを、人工的にエッジ空間を作り出した粘土鉱物を用いて初めて明らかにしました。セシウムが土壌中で固定化されるメカニズムの一端を明らかにしたことで、今後の汚染土壌処理 (中でも減容化) に大きく寄与するものと期待されます。
  2. 福島県にある大量の放射能汚染土壌の処分問題では、放射性セシウム (134Cs及び137Cs) の除去など技術的課題が山積しています。汚染土壌の中で、極微量 (1ng/kg以下) の放射性セシウムが吸着している鉱物が粘土鉱物です。バーミキュライトや風化雲母等に代表される粘土鉱物は層状構造をしており、「層間」に含まれるイオンが水和している場合は、セシウムがそのイオンに置き換わって吸着することが知られていました。一方、天然では層間に水和イオンを有していない場合も多く、その場合でもセシウムイオンを非常に強く吸着します。その要因として、風化によって端がめくれてできた「エッジ」に空間が存在するためと考えられていました。しかし、吸着しているセシウムがエッジに吸着しているのか、エッジから内部に入り込んで層間のイオンと置き換わっているのか、従来のエックス線回折法ではその構造的な要因について解析できませんでした。
  3. 今回、研究チームは、エッジ空間と同等の層が一部広がったくさび型空間をもつアルミニウム置換粘土を作製し、安定同位体セシウム (133Cs) の吸着・脱離状態を、NMRによって解析しました。その結果、セシウムがアルミニウム置換粘土のくさび型空間と層間内部の両方に吸着していることを明らかにしました。さらに、脱離処理後も両方にあるセシウムが残留していたことから、両方の構造にセシウムを安定的に吸着する性質がある可能性を示しました。
  4. 粘土鉱物のエッジは、セシウムを非常に強く吸着することが知られていましたが、今回、その吸着状態を特定したことで、今後の汚染土壌処理問題の解決に役立つことが期待されます。今後、様々な関連物質について条件を変えてセシウムの状態を解析・比較する事により、放射性セシウムの吸着能力の向上や吸着制御の向上に貢献すると期待されます。
  5. 本研究成果は、Chemistry Letters誌オンライン版に日本時間2016年11月10日に優秀論文 (Editor's Choice) として掲載されます。

「プレスリリースの図3:  アルミニウム置換粘土の構造の模式図。「雲母ゾーン」と「くさびゾーン」の両方が存在するため、セシウムがどちらのゾーンに吸着されているかが問われていました。 (Cs : セシウム、K : カリウム、Al : アルミニウム) 」の画像

プレスリリースの図3: アルミニウム置換粘土の構造の模式図。「雲母ゾーン」と「くさびゾーン」の両方が存在するため、セシウムがどちらのゾーンに吸着されているかが問われていました。
(Cs : セシウム、K : カリウム、Al : アルミニウム)




本研究内容に関するお問い合わせ先

(研究内容に関すること : 解析に関する事)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
先端材料解析研究拠点 極限計測分野
強磁場NMRグループ
主幹研究員 丹所正孝 (たんしょまさたか)
TEL: 029-863-5489
E-Mail: TANSHO.Masataka=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(研究内容に関すること : 物質に関する事)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
機能性材料研究拠点 機能性粘土材料グループ グループリーダー
田村堅志 (たむらけんじ)
TEL: 029-860-4667
E-Mail: TAMURA.Kenji=nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
(報道・広報に関すること)
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室
〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1
TEL: 029-859-2026
FAX: 029-859-2017
E-Mail: pressrelease=ml.nims.go.jp
([ = ] を [ @ ] にしてください)
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