松下 能孝 (まつした よしたか)
技術開発・共用部門 材料分析ステーション 化学分析・X線回折グループ グループリーダー
【業績名】
X線回折法を用いた物質開発および人材育成支援に対する貢献
物質開発において、X線回折法は最も初期に行う試料分析手法です。その一方、装置・解析ソフトの自動化に伴い、実験手法の基礎、結晶学およびデータ解析学が蔑ろにされてきています。事実、実験誤差・解析誤差を鑑みると、不正確な解析結果が公表されている事例が増加しており、加えて、近年は科学技術の進歩や社会・産業界の要請に伴い、研究ターゲットは非常に多様化しつつあります。その一方で、各分野における成果を正当に評価でき、装置開発も可能な (分析・装置) 技術者・研究者が減じているのが現状であり、その技術開発分野における次世代の育成、実験手法の標準化は急務です。
本業績では、前項で示した様な各種問題点に対して、定常業務である装置の維持管理や依頼分析業務に加えて、出願者は依頼分析業務のみならず講習会の開催など次世代に対する啓蒙活動を行い、適切な成果の創出 (論文化) に努めて参ると共に、X線回折法に関する深い知識を基にISOなどの標準化にも寄与を果たしました。
本業績の支援を受け、2012年に現在のグループに所属して以降、国際学術雑誌に総数140報の学術論文を出版し、総数7件の論文賞などを受賞しています。
本業績により、所属機関全体での研究機器の共用体制が確立され、研究現場の研究生産性向上に大きく貢献すると共に、物質開発の促進ならびに次世代人材育成に貢献を果たしました。