環境およびエネルギー問題の解決に向けて、物理化学や材料化学が重要な役割を果たすべき事をいち早く着目し、様々な物質の光物性や電子移動に関する物理化学的研究を中心とした基礎化学及び産業応用への業績が高く評価されました。具体的には、微弱な紫外光が酸化チタンの表面物性を変換させるという光誘起親水性の発見を契機に、防汚機能や抗菌・抗ウイルス機能を持つ光触媒建築材料という新産業分野の創生を行い、また、可視光で機能する光触媒の開発を行うことで、同産業分野の拡大に大きく貢献しました。
さらに、光で磁性を変化させる機能を有する新物質の設計と合成、さらには鉄化合物ナノコロイドと微生物の細胞外膜チトクロームC間での電子移動現象を用いる新しいエネルギー変換系の構築、といった新しい研究分野を次々と切り開き、物理化学・材料科学分野において、これまでの領域を大きく踏み越えた学際領域の開発に多大な貢献をしました。