船井情報科学振興財団 「船井研究奨励賞」をNIMS研究員2名が受賞

平井 孝昌 主任研究員、安藤 冬希 NIMS特別研究員が「船井研究奨励賞」を受賞しました

磁性・スピントロニクス材料研究センター スピンエネルギーグループの 平井孝昌 主任研究員、安藤冬希 NIMS特別研究員は、公益財団法人 船井情報科学振興財団より「2025年度 船井研究奨励賞」を受賞しました。

船井研究奨励賞は「情報科学、情報技術分野を中心に広く理工系分野において、顕著な研究業績のあった若手研究者に褒賞」するもので、「国内の大学あるいは公的研究機関に所属する博士号取得後5年以内 (応募時) の研究者を対象」としています。

表彰名

2025年度 船井研究奨励賞

受賞者

平井孝昌 主任研究員の顔写真

平井 孝昌
磁性・スピントロニクス材料研究センター
スピンエネルギーグループ
主任研究員

受賞タイトル

「幾何学デザインに基づく構造エンジニアリングによる高性能熱変換・生成機能の創出」

研究業績概要

エレクトロニクスの発展と共に、熱エネルギーを高度かつ適切に制御・利用するための基盤技術:熱マネジメント技術の重要性が高まっています。氏は、“傾斜”や“切り紙”といった、造形学的な幾何学形状を物性物理研究に取り入れ、材料構造をエンジニアリングすることで、従来性能が低いとみなされていた物質(磁性体やプラスチック)から実用レベルに匹敵する熱エネルギー利用・制御性能を創発することに成功しました。氏のアイデアは特定の材料に限定されない汎用的な技術でありながら、物質のまだ見ぬ機能を引き起こすものであるため、物性物理・熱工学のみならず材料科学の発展にも大きく貢献することが期待できます。

表彰名

2025年度 船井研究奨励賞

受賞者

安藤冬希 NIMS特別研究員の顔写真

安藤 冬希
磁性・スピントロニクス材料研究センター
スピンエネルギーグループ
NIMS特別研究員

受賞タイトル

「3次元人工多層構造制御に基づいた量子輸送・エネルギー変換機能の開拓」

研究業績概要

空間反転対称性の破れた物質では、多彩なスピン—電子変換現象や非従来的超伝導が発現します。氏は3次元人工多層構造による非対称性制御をコンセプトとした、新しい超伝導物性の開拓と熱電変換材料・モジュールの高性能化に成功しました。特に超伝導ダイオード効果の発見は超伝導とスピントロニクスの境界領域において一大潮流を生み出し、超伝導量子コンピューターへの応用が期待されています。さらに、氏の開発した数々の駆動原理による熱電変換モジュールは世界最高クラスの変換効率・発電密度を達成しており、当分野のエネルギー回収応用に向けて大きく貢献すると見込まれます。

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