NIMS Award Symposium 2024 開催報告
2024.12.12
NIMSは、11月6日(水)と7日(木)の2日間、つくば国際会議場において「NIMS Award Symposium 2024」を開催いたしました。
本年の「NIMS Award」は、「透過電子顕微鏡法の革新による材料界面研究への貢献」の功績により、東京大学の幾原 雄一 特別研究教授、そして「非接触原子間力顕微鏡法の革新によるナノ材料研究への貢献」の功績により、ドイツ University of Regensburg (レーゲンスブルク大学) のFranz J. Giessibl (フランツ J. ギーシブル) 教授 の2名に授与しました。
1日目 (11月6日)
初日の11月6日は、NIMS Award 2024の授賞式と受賞記念講演を行い、受賞者による先端的かつ卓越した知見を聴講できる貴重な機会として、500名近くの参加者が集まり、会場は立ち見も含め満席となりました。
午後からは、関連する分野のトップサイエンティストによる招待講演とNIMS研究者による最新の研究成果紹介を通じて活発な議論が行われました。セッションテーマは「Advanced Characterization for Materials Innovation」とし、ドイツ Institute for Microstructure ResearchのRafal E. Dunin-Borkowski(ラファル・E・ドゥニン=ボルコフスキ)教授、大阪大学の末永 和知 教授、名古屋大学の内橋 貴之 教授、東北大学の高田 昌樹 教授、米国 コロンビア大学のSimon J. L. Billinge(サイモン・J・L・ビリンジ)教授らによる招待講演、NIMSからは川井 茂樹 グループリーダー(ナノプローブグループ)、小原 真司 グループリーダー(量子ビーム回析グループ)の2名が発表を行いました。
オーラルセッション終了後のポスターセッションでは、NIMS内外から99件の発表があり、会場には様々な分野の研究者が集い、若手を中心として熱気溢れる議論が行われました。
ポスターセッション終了後は、NIMS Awardの受賞を祝うNIMS Award受賞記念レセプションを開催し、お二人の受賞者から記念のスピーチを頂きました。参加者にとってはNIMS Award受賞者や国内外の著名な研究者と直接対話をすることができる貴重な場となりました。
2日目 (11月7日)
2日目の11月7日は「Synchrotron Spectroscopy and Imaging」「Scanning Probe Microscopy」「Advanced Electron Microscopy」の3つのテーマについて、それぞれの分野で最先端の研究をしている招待講演者とNIMS研究者が発表しました。
「Synchrotron Spectroscopy and Imaging」のセッションでは、韓国 Seoul National UniversityのChangyoung Kim(チャンヨン・キム)教授、米国 Lawrence Berkeley National LaboratoryのHendrik Ohldag(ヘンドリック・オルダグ)博士、東北大学の髙橋 幸生 教授が招待講演を、NIMSからは山崎 裕一 チームリーダー(放射光イメージングチーム)が発表を行いました。
「Scanning Probe Microscopy」セッションでは、中国 Soochow UniversityのLifeng Chi(リーフェン・チー)教授、大阪大学の菅原 康弘 教授、韓国 Center for Quantum NanoscienceのSoo-hyon Phark(スヒョン パーク)教授が招待講演を、NIMSからは吉澤 俊介 主任研究員(ナノプローブグループ)が発表を行いました。
最後の「Advanced Electron Microscopy」のセッションでは、九州大学の村上 恭和 教授、米国 Lawrence Berkeley National LaboratoryのDr. Colin Ophus(コーリン・オーファス)教授が招待講演を、NIMSからは川本 直幸 主幹研究員(電子顕微鏡グループ)が発表を行いました。
多くの参加者から、2日間を通して様々な分野の最先端の計測技術を知ることができ大変有意義だったとの高い評価を得ました。
次回のNIMS Award シンポジウムは「環境・エネルギー」分野から、エネルギー関連材料と技術をテーマに、2025年11月に開催する予定です。
NIMS Award 記念メダルについて
受賞者には、副賞として都市鉱山から採取した金を用いた、資源と環境に配慮した金メダルを贈呈しました。
【素材】 都市鉱山金メッキ (下地金属 : 銀) (英語 : Urban Mined Ethical Gold Plated silver)
【化学組成】 金 - 99.99質量%
NIMS AWARDのメダルは、2020TOKYOオリンピック・パラリンピックの金メダルと同じように都市鉱山から採取した金を用いて作製されました。都市鉱山は、使用済みの家電、携帯電話、パソコンその他の製品から金属を回収・再利用する資源と環境を配慮した取り組みです。この都市鉱山の概念は、2008年にNIMSがその蓄積量とリサイクルの重要性を発表したことが契機になり、小型家電のリサイクル制度や、東京オリンピック・バラリンビックの金銀銅メダルにまで広がりました。NIMS AWARDのメダルも、銀の下地金属に、この都市鉱山から採取された資源と環境に配慮した金をメッキして作られたものです。
お問い合わせ先
E-Mail: academic-collaboration=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)