NIMS Award Symposium 2024 開催報告

NIMSは、11月6日(水)と7日(木)の2日間、つくば国際会議場において「NIMS Award Symposium 2024」を開催いたしました。

NIMSは2007年より、物質・材料研究において顕著な成果をあげた研究者またはグループに、「NIMS Award」を授与して参りました。NIMS Award Symposium は、NIMS Award受賞者の功績を称えるとともに、対象分野において最先端の研究を行っているトップレベルの研究者を世界からつくばに集結させ、当該分野における研究成果を発信するため、NIMSが毎年開催している国際シンポジウムです。
本年の「NIMS Award」は、「透過電子顕微鏡法の革新による材料界面研究への貢献」の功績により、東京大学の幾原 雄一 特別研究教授、そして「非接触原子間力顕微鏡法の革新によるナノ材料研究への貢献」の功績により、ドイツ University of Regensburg (レーゲンスブルク大学) のFranz J. Giessibl (フランツ J. ギーシブル) 教授 の2名に授与しました。

受賞者、招待講演者を交えた参加者集合写真

1日目 (11月6日)

初日の11月6日は、NIMS Award 2024の授賞式と受賞記念講演を行い、受賞者による先端的かつ卓越した知見を聴講できる貴重な機会として、500名近くの参加者が集まり、会場は立ち見も含め満席となりました。

幾原特別研究教授による受賞記念講演

Giessibl教授による受賞記念講演

午後からは、関連する分野のトップサイエンティストによる招待講演とNIMS研究者による最新の研究成果紹介を通じて活発な議論が行われました。セッションテーマは「Advanced Characterization for Materials Innovation」とし、ドイツ Institute for Microstructure ResearchのRafal E. Dunin-Borkowski(ラファル・E・ドゥニン=ボルコフスキ)教授、大阪大学の末永 和知 教授、名古屋大学の内橋 貴之 教授、東北大学の高田 昌樹 教授、米国 コロンビア大学のSimon J. L. Billinge(サイモン・J・L・ビリンジ)教授らによる招待講演、NIMSからは川井 茂樹 グループリーダー(ナノプローブグループ)、小原 真司 グループリーダー(量子ビーム回析グループ)の2名が発表を行いました。

Borkowski教授による招待講演

末永教授による招待講演

内橋教授による招待講演

川井グループリーダーによる講演

高田教授による招待講演

Billinge教授による招待講演

小原グループリーダーによる講演

オーラルセッション終了後のポスターセッションでは、NIMS内外から99件の発表があり、会場には様々な分野の研究者が集い、若手を中心として熱気溢れる議論が行われました。

ポスターセッションの様子1

ポスターセッションの様子2

ポスターセッション終了後は、NIMS Awardの受賞を祝うNIMS Award受賞記念レセプションを開催し、お二人の受賞者から記念のスピーチを頂きました。参加者にとってはNIMS Award受賞者や国内外の著名な研究者と直接対話をすることができる貴重な場となりました。

受賞記念スピーチを行う幾原特別研究教授

受賞記念スピーチを行うGiessibl教授

来賓挨拶を行う宅間参事官

閉会挨拶を行う鎌田理事

2日目 (11月7日)

2日目の11月7日は「Synchrotron Spectroscopy and Imaging」「Scanning Probe Microscopy」「Advanced Electron Microscopy」の3つのテーマについて、それぞれの分野で最先端の研究をしている招待講演者とNIMS研究者が発表しました。
「Synchrotron Spectroscopy and Imaging」のセッションでは、韓国 Seoul National UniversityのChangyoung Kim(チャンヨン・キム)教授、米国 Lawrence Berkeley National LaboratoryのHendrik Ohldag(ヘンドリック・オルダグ)博士、東北大学の髙橋 幸生 教授が招待講演を、NIMSからは山崎 裕一 チームリーダー(放射光イメージングチーム)が発表を行いました。

Kim教授による招待講演

Ohldag教授による招待講演

髙橋教授による招待講演

山崎グループリーダーによる講演

「Scanning Probe Microscopy」セッションでは、中国 Soochow UniversityのLifeng Chi(リーフェン・チー)教授、大阪大学の菅原 康弘 教授、韓国 Center for Quantum NanoscienceのSoo-hyon Phark(スヒョン パーク)教授が招待講演を、NIMSからは吉澤 俊介 主任研究員(ナノプローブグループ)が発表を行いました。

Chi教授による招待講演

菅原教授による招待講演

Phark教授による招待講演

吉澤主任研究員による講演

最後の「Advanced Electron Microscopy」のセッションでは、九州大学の村上 恭和 教授、米国 Lawrence Berkeley National LaboratoryのDr. Colin Ophus(コーリン・オーファス)教授が招待講演を、NIMSからは川本 直幸 主幹研究員(電子顕微鏡グループ)が発表を行いました。

村上教授による招待講演

Ophus教授による招待講演

川本主幹研究員による講演

閉会式では99件のポスター発表の中から、特に優秀なポスター3件が選ばれ、表彰式が行われました。ベストポスターアワードは、東京大学の岡崎 淳哉 氏、ポスターアワードは、若手国際研究センター(ICYS)の中澤 克昭 ICYSリサーチフェロー、NIMSマテリアル基盤研究センターの石井 祐太 研究員の2名が受賞しました。

ポスターアワード受賞者

多くの参加者から、2日間を通して様々な分野の最先端の計測技術を知ることができ大変有意義だったとの高い評価を得ました。

次回のNIMS Award シンポジウムは「環境・エネルギー」分野から、エネルギー関連材料と技術をテーマに、2025年11月に開催する予定です。

NIMS Award 記念メダルについて

受賞者には、副賞として都市鉱山から採取した金を用いた、資源と環境に配慮した金メダルを贈呈しました。
【素材】 都市鉱山金メッキ (下地金属 : 銀) (英語 : Urban Mined Ethical Gold Plated silver)
【化学組成】 金 - 99.99質量%

NIMS AWARDのメダルは、2020TOKYOオリンピック・パラリンピックの金メダルと同じように都市鉱山から採取した金を用いて作製されました。都市鉱山は、使用済みの家電、携帯電話、パソコンその他の製品から金属を回収・再利用する資源と環境を配慮した取り組みです。この都市鉱山の概念は、2008年にNIMSがその蓄積量とリサイクルの重要性を発表したことが契機になり、小型家電のリサイクル制度や、東京オリンピック・バラリンビックの金銀銅メダルにまで広がりました。NIMS AWARDのメダルも、銀の下地金属に、この都市鉱山から採取された資源と環境に配慮した金をメッキして作られたものです。

お問い合わせ先

国際・広報部門 学術連携室
TEL: 029-859-2477
E-Mail: academic-collaboration=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)