天神林瑞樹

表面を自在に操り、新材料を生み出す

表面を自在に操り、新材料を生み出す

ナノアーキテクトニクス研究材料センター
独立研究者

Q1.どのような研究をしていますか?

材料表面のナノ構造制御により、液体の濡(ぬ)れ性を操る研究です。濡れ現象は日常生活から産業プロセスまで幅広く見られます。例えば、撥水・撥油性材料は雨具や料理器具に使われ、親液性材料は塗料の下地材として使われます。つまり、濡れ性を自在に操ることで材料の表面機能設計が可能となります。特に私は撥水材料の高度化に力を入れており、水滴が全くつかない超撥水技術や、水や油がツルツル滑落する液体滑落技術の開発に着手しています。

Q2.NIMSの魅力は何ですか?

大学と異なる点を挙げると、周り全員が博士号を持つレベルの高い専門家であり、様々な研究背景の材料研究者が集まっている点が魅力的です。材料研究という共通目標のもとでタッグを組むことで、専門性の高い研究を発信できます。RPGで魔王を倒すために様々な職業の人とパーティを組むイメージです。定年制になってからは、自分と異なる研究背景の専門家と積極的に議論するようにしていますが、その過程で思いもよらぬアイディアや解析手法、応用が生まれた経験をしました。

Q3.今後のご自身のキャリア、やりたいことはなんですか?

研究者として今後やりたいことは、専門分野である濡れ現象の理解を深め続けることです。実は、生命の起源は“液滴※”とされるモデルがあります。濡れ現象は液滴のふるまいも扱いますので、産業応用だけでなく生命科学の理解と裾野が広くやりがいのある学問対象です。濡れ現象を深く理解し多分野に展開するためには知の融合が必要ですので、様々な背景の専門家がいるNIMSの環境は最適であると考えています。
※液体のつぶのこと。

Q4.研究職を志望する学生さんへの メッセージをお願いします

インターンシップに参加して研究職に関する情報を集めてほしいと思います。私は、学生時代インターンシップを積極的に行ってきました。大学ではあまり知ることができなかった研究職の情報を得るためにNIMSだけでなく国内・外資材料メーカーのインターンシップに参加し、情報を集めました。その結果、自分の仕事の適性を理解できたと考えています。特にリスクもなく研究職についての具体的な情報を得られるためおすすめします。また、大学の研究も自身の専門性を養うために重要ですので頑張って下さい。