2024.02.05 更新

2024.2.28 第6回NIMS国際標準化セミナー開催案内

木村一弘 (NIMS)


狩野清史
(株式会社 mil-kin)


研究成果の普及と社会還元を促進するため、JISやISO等の規格・基準による標準化は有効な手段であり、これからの研究開発活動おいては,知的財産化と提携した標準化による研究成果の社会実装が強く求められています。
そこで、国際標準化委員会では、標準化に関する成功例や失敗例等の具体例を紹介するNIMS国際標準化セミナーを開催しております。6回目となる今回のセミナーでは、ISO以外の標準化の成功例として、次世代革新炉の材料強度基準に関連するASME規格制定に携わった木村一弘特命研究員 (NIMS)と、 自ら開発した顕微鏡をJIS制定によりビジネスに結び付けた狩野清史氏(株式会社mil-kin代表取締役)に、標準化の事例を紹介して頂きます。
今後、ISOやIECなどで日本代表として意見を堂々と発言できる若手研究者、技術者の教育の一助になればと考えています。
皆様のご参加をお待ちしております。


【日時】2024年2月28日 (水) 13:30-15:40
【開催方法】オンライン (Teams)
【定員】なし
【参加費】無料
【参加方法】参加を希望される方は、下記リンクのフォームからお申し込みください。 (2/26 (火) 17:00締切)
forms.office.com/r/nfKdAcKDSN
【お問い合わせ】NIMS国際標準化委員会事務局
E-mail: vamasj-secretariat=ml.nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)

【プログラム】
13:30-13:35 開会の挨拶木村一弘 (物質・材料研究機構 国際標準化委員会 委員長)
13:35-14:35 「次世代革新高温炉用9Cr-1Mo-V鋼の50万時間材料強度基準の策定」
       木村一弘 (物質・材料研究機構 構造材料研究センター 特命研究員)

2023年2月10日,内閣府に設置されたGX (グリーントランスフォーメーション) 実行会議における議論の成果を踏まえた『GX実現に向けた基本方針~今後10年を見据えたロードマップ~』が閣議決定された。このロードマップには,エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取り組みの一環として,安全性の確保を大前提として,新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設に取り組む方針が明示され,革新軽水炉,小型軽水炉,高速炉,高温ガス炉及び核融合の5種類の原子力発電システムに関する計画が目標・戦略として設定された。
火力プラント等の非原子力機器の材料強度基準の策定には10万時間 (約11年5ヶ月) という長時間クリープ強度の評価が必要であるが,運転温度が比較的低い軽水炉とは異なり,クリープ変形を考慮する必要がある高温で運転される高速炉と高温ガス炉の設計には,原子炉の設計寿命である60年に対応した50万時間という半世紀を超える極めて長時間のクリープ強度特性評価が求められる。本講演では,木村が主導してASME規格に策定された9Cr-1Mo-V鋼の50万時間材料強度基準について述べる。

14:35-15:35 「現場の課題解決から誕生した携帯形微生物観察器〜開発から社会実装まで〜」
       狩野清史 (株式会社 mil-kin 代表取締役)

電解水事業から誕生した「見る菌」。今考えれば、とても大胆な挑戦の決断をしたなと思います。2016年にその決断を下した背景には、多くの現場を歩いてきた肌感覚から得た直感からでした。この開発には私だけではなく、専門家や関係者の意見を聞きながら妄想と仮説を繰り返しながら進めました。また、どうしたら無名の顕微鏡が市場に受け入れられるかの戦略を考え、そのひとつがJIS規格への挑戦でした。当時、別のJIS規格の原案作成委員になっていた私は、「見る菌」が規格になったことを想定した戦略を立てたのです。その後、特許申請やプロトタイプを作成、2017年6月には販売を開始し、積極的に展示会に出展しました。現場に持ち込める携帯性やスマートフォンの画面で見る細菌類の衝撃から、多くの注文を受けることができました。2019年には晴れてJIS B 7271として制定され、またベンチャーキャピタルから資金調達をすることができ、2020年には電解水事業を譲渡。社名を株式会社mil-kinに変更し、「ミクロの視点から マクロな社会課題を解決する」というパーパスを掲げ再出発し現在に至ります。今後も新たな価値を創造し続け、世界の社会問題を解決するために尽力しまいりたいと考えております。

15:35-15:40 閉会の挨拶 西島 元 (物質・材料研究機構 国際標準化委員会 副委員長)