稀少資源 (レアアース) を使用しない、高保磁力の磁石を開発

材料のナノ組織の解析と制御により、稀少資源である“Dy (ジスプロシウム) ”を用いずに保磁力の高い磁石を開発しました。

ネオジム磁石
(Nd10Dy4)Fe80B6


自動車のモーター部分等で使用される「ネオジム磁石」は強力な永久磁石ですが、高熱下では保磁力が落ちるため、通常は希少元素のDyを添加します。しかし、Dyには量的リスクと偏在リスクがあることから、Dyを使用しなくても同等の保磁力を持つ高性能永久磁石の開発が望まれていました。

高性能な永久磁石にはDyは必須元素
量的リスク (希少元素) と中国に偏在するカントリー・リスク

Dyを使わない新磁石材料の開発が重要課題

材料中の微細結晶の界面組成を解析・制御

そこでNIMSでは、結晶粒間の磁気的な結合を切ることで保磁力を強化できるという発想から、結晶粒界のネオジム組成を改善する方法を提案、Dyを全く使わずに保磁力を高める方法を見出しました。

3次元アトムプローブによる
NdとCuの原子マップ


結晶粒界にNd-Cu合金を拡散し、粒間の磁気的結合を
弱めることで保磁力を向上




この成果に関係する研究者

宝野 和博(ほうの かずひろ)
磁性・スピントロニクス材料研究拠点 拠点長

※所属・役職は2016年7月現在のものです。