第80号

2018.05.23 発行


今号の内容

  1. 研究のあり方を変える新形態の装置共用プログラムを開始
  2. 【速報】電流を曲げるだけで冷却・加熱可能な現象を世界初観測 !
  3. 鮮やか実験映像 #20 「不気味 ! ? 黒い炎が燃え上がる ! 」
  4. 最新研究ニュース・アクセスランキング (4/11~5/22)
  5. 「NIMS NOW」最新号予告
    『真の現場に迫れ』 ~実働環境下で材料を観るオペランド計測~

研究のあり方を変える新形態の装置共用プログラムを開始

NIMSは、公的資金を投入せずに最新装置を導入し、企業がその装置を低価格で利用して研究開発できる、新形態の装置共用プログラムを開始しました。

ポイントは、レンタルで最新の電子顕微鏡をNIMSに導入し、そのレンタルを複数の企業で負担すること。購入するよりはるかに安く最新装置を使った開発が可能となります。しかもレンタルのため、常に最新装置に置き換えが可能。

さらに、企業単独では難しいような高精度な測定や解析の技術を、NIMSのエンジニアと共同で開発できます。新材料開発に求められる測定や解析の技術は年々高度になり、装置も高額になる中、限られた予算の中で産業競争力をいかに向上させるのか。NIMSの提案する新しい研究のカタチがここにあります。

2 : 【速報】電流を曲げるだけで冷却・加熱可能な現象を世界初観測 !

電流を熱に変換し、加熱したり冷却したりする「ペルチェ効果」。増え続けるコンピュータの冷却技術として期待されるなど、200年近く前に発見されて以来、いまも変換効率向上を目指して世界中で研究が続いています。NIMSは今回、そんなペルチェ効果に関する教科書を書き換えてしまうかもしれない、新たな現象の観測に成功しました。

それは、ニッケルを曲げて電流を流すだけで、加熱・冷却されるという現象。
実はこれまでペルチェ効果の観測には、異なる2つの物質をつなげる必要がありました。それが、ニッケルという身近な金属をただ曲げるだけで実現できたのです。なぜこれほど単純なことが、これまで観測できなかったでしょうか?

成功の秘密は、ニッケルが持つ磁石の性質と、ごくわずかな温度変化も見逃さない驚きの観測方法にあります。

3 : 鮮やか実験映像 #20「不気味 ! ? 黒い炎が燃え上がる ! 」

不気味にも見える「黒い炎」。
初めて見ると、驚きますよね。
アニメ、NARUTOの天照が放つ黒炎の現実版か、と思う方もいるかも知れません。

その正体は、原子が吸収する光です。
各元素には、それぞれ特有の光を吸収する性質があります。

天文学の世界では、遠くの星がどんな成分でできているかを知るために、どの光が吸収されているかを手がかりにします。
材料開発の世界でも、その物質にはどんな元素がどのくらい含まれているかを知るために、各元素が吸収する独特の波長の光を使います。

元素の特性が生み出す「黒い炎」と、それを活かした分析法。
ぜひ実際にご覧ください。

3:最新研究ニュース・アクセスランキング (3/14~4/10)

【1】NIMS-SoftBank先端技術開発センターの設置に関する覚書を締結 (4/11)
http://www.nims.go.jp/news/press/2018/04/201804110.html

【2】データサイエンスで効率的に全固体電池材料の最適化予測に成功 (4/19)
http://www.nims.go.jp/news/press/2018/04/201804190.html

【3】全固体電池向けシリコン負極の高安定動作に成功 (5/14)
http://www.nims.go.jp/news/press/2018/05/201805141.html

【4】量子スピン液体のデカップリング現象の発見 (4/23)
http://www.nims.go.jp/news/press/2018/04/201804230.html

【5】GaNウエハ全面の「ゆがみ」をすばやく詳細に可視化する新手法 (5/16)
http://www.nims.go.jp/news/press/2018/05/201805160.html

今回は、2件同時にランクインした全固体電池をピックアップ。
EV時代にむけて、トヨタが「2020年代前半の実用化を目指す」と発表するなど、その開発に世界がしのぎを削る「全固体電池」。燃えにくい固体の電解質を使うことで高い安全性を確保しつつ、いかに出力とエネルギー密度を高くするのかが実用化の鍵を握っていますが、NIMSはその両方で大きな成果を挙げました。

  • データサイエンスで効率的に全固体電池材料の最適化予測に成功
    http://www.nims.go.jp/news/press/2018/04/201804190.html
    膨大な候補物質の中から、出力向上に最適な材料をいかに短時間で見つけるのか。今回「データサイエンス」の技術を取り入れることで、従来より2~3倍も高速な材料探索が可能になりました。
  • 全固体電池向けシリコン負極の高安定動作に成功
    http://www.nims.go.jp/news/press/2018/05/201805141.html
    理論的な容量密度が非常に高いシリコンですが、充放電の際に大きく膨張・収縮してしまい壊れやすいのが欠点でした。NIMSは、ある構造を導入することでこの問題を解決。固体電解質と組み合わせると、100回の充放電でも容量低下が起こらないことを突き止めました。

4 : NIMS NOW最新号予告

材料開発に欠かせない観測技術に今、新たな潮流が生まれています。それが、実際に材料が働いている環境で原子レベルの変化をとらえる「オペランド計測」。これまで原子レベルでの観察は、超高真空、極低温という実働環境とは対極の環境でのみ可能でしたが、大気中や液中で、化学反応中の原子の動きをそのまま観察することで、材料の真の姿を明らかできると期待されています。

NIMS先端材料解析研究拠点では、これまで蓄積した膨大な観測技術のノウハウをもとに、オペランド計測可能な独自の装置・技術を開発。すでに触媒反応や充放電中の原子の動きをとらえることに成功しています。次号NIMS NOWでは、オペランド計測による最新成果を徹底取材。お楽しみに !

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