第3号

2011.11.09 発行


今号の内容


 (独) 物質・材料研究機構 (NIMS) より
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    NIMS『使える ! メールマガジン』 創刊第3号 2011.11.09
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   ※登録解除、お問い合わせはこちらから。 mailmag[at]nims.go.jp
       題名に「登録解除」「問い合わせ」など表記してください。



──────────────〔 もくじ 〕───────────────

1. 最新研究リリース ~次世代磁気デバイス開発を加速 最表面スピン分析~
2. 世界最大規模 !   物質・材料の「使える ! データベース」 MatNavi
3. 広報誌『NIMS NOW』最新号  特集 ハイブリッド材料
4. 開催 !  第2回構造材料国際クラスターシンポジウム  事前申込 受付中
   つくばイノベーションアリーナ 公開シンポジウム      事前申込 受付中
5. NIMSフォーラム 開催報告

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◆1 :  最新研究リリース ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『最表面の“スピン”と“構造”の複合分析を世界で初めて実現』
 ~新しいイオンビームで次世代の磁気デバイス開発を加速~
                             [10月19日]

 物質の世界で、「表面」は特別な意味を持っています。ある物質が他の物質
と反応する際の「現場」となるからです。中でも、一番外側の原子の層は
「表面第一原子層」という特別な名前で呼ばれるほど重要です。
 ナノの世界の特性を最大限に利用して新材料を生み出したり、新しいデバイ
スを作り出す先端科学の現場では、最表面の原子や電子の状態&構造を正確に
把握できなければ、理論に基づいた開発はおこなえないのです。このような最
表面の世界で、もっとも注目を集める要素の一つが電子の状態、スピンです。
 電子には電気的性質である+ - の他に、スピンという微少な磁石としての性
質があります。従来は電子の電気的性質に注目しエレクトロニクスが発展して
きましたが、今後は電子に加えてスピンにも同時に注目することで、飛躍的に
進化した次世代のデバイス開発が進められています。
 ところが、ここで問題になっていたことがありました。最先端の分析技術を
用いてさえ、最表面のスピンを分析することが極めて困難だったのです。今回
NIMSでは、特別なイオンビームを用いて、表面第一原子層の電子スピンを解析
することに世界で初めて成功しました。決め手となったイオンビームは
NIMSが2007年に世界最高性能を実現した「スピン偏極4He+イオンビーム」
です。
 世界中で渇望されていた最表面のスピン解析が可能になったことで、今後、
スピンをも利用した次世代のスピントロニクス開発が飛躍的に進展することが
期待されます。
 最表面のスピンと構造の複合分析を可能にした、比較的小型の装置。興味の
ある方は、いつでもご連絡してください。成果の詳細は以下のリンクで。

   http://www.nims.go.jp/news/press/2011/10/p201110190.html




◆2 :  世界最大規模 ! 物質・材料の「使える ! データベース」 MatNavi

 世界最大の規模を誇る物質・材料のデータベースをご存じでしょうか。利用
登録者数は全世界で6万人を超え、毎月のアクセス数は120万件。現在も、
月1千人以上のペースで登録者数が増え続けているデータベースが「NIMS
物質・材料データベース」、通称MatNaviです。
 MatNaviは企業の研究者や技術者が製品開発をおこなう際の材料の選択に
大きな役割を果たしたり、大学や研究機関が研究のための標準参照データとし
て利用されています。インターネット上でユーザー登録をすれば、40年以上
かけて蓄積してきた物質・材料に関する膨大なデータに無料でアクセスするこ
とができます。ぜひ研究に、新製品開発にお役立てください。

 2010年7月に全面改良されたMatNaviは、金属材料、無機材料、超伝
導材料、高分子材料など11種類の材料データベースと、複合材料熱物性予測
システムや溶接熱履歴シミュレーションなどのアプリケーションを提供してい
ます。例えば、金属材料データベースには、構造用金属材料の密度、弾性係数、
ポアソン比、堅さ、靱性、引張特性、クリープ特性、クリープ破断特性および、
各種疲労特性のデータが収録されています。これらの各データは、調べたい材
料のJIS規格番号、ASTM規格番号、材料名、素材形状などから検索できるよ
うになっており、経年劣化材を含む500材種、82700件が収録されてい
ます。
 こうした材料データベースの構築は世界各地でおこなわれました。しかし、
実験データや計算科学の成果を基にしたデータの収集には多大な資金とマンパ
ワーが必要です。例えば、今年NIMSが世界最長記録を達成したクリープ試験
片では、40年以上にわたり一定の高温下で金属片を引っ張り続けた高性能の
試験器、バックアップ電源、常に緊急対応できる体制を維持した技術者など、
様々な面での条件が揃って初めて可能になりました。このような環境を整える
ことは容易ではないため、MatNaviは現在、世界でも突出したデータベースと
なっています。
 データベースは、安全・安心な社会を構築し、産業のさらなる発展に不可欠
な資源です。気の遠くなるような年月と多くの人たちの努力の蓄積で作り上げ
られた物質・材料のデータベース、MatNavi。ぜひお役立てください。

 アドレスは     http://mits.nims.go.jp/  
 お問い合わせは   http://mits.nims.go.jp/mail/formmail.cgi?lang=jp



 なお、MatNaviにつきましては、アグネ技術センターが出版する専門雑誌
「金属」の12月号に詳しく特集される予定です。こちらもご覧ください。




◆3 : 広報誌 『NIMS NOW』━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 最新号 (2011年11月号) の特集は、ハイブリッド材料。
複合材料のみならず、多孔質材料、積層材料等も含めご紹介します。
今回は特に構造材料におけるハイブリッド材料に注目。プロジェクトの特徴
は特定の材料研究ではなく、ユーザーが欲するハイブリッド材料を開発する
際のツールボックス (道具箱) を整備・創製することを目的としていること
です。それら多岐にわたるツールの中から今回は10ツールをご紹介します。

次号、12月号は超伝導材料特集。ご期待ください。


 ※NIMSでは毎月、広報誌『NIMS NOW』を発刊しています。
NIMSの研究を毎号ワンテーマで紹介。各分野の最新動向を知ることがで
きます。
  通算120号を超える『NIMS NOW』は、物質・材料研究すべての
  フィールドを網羅する、分野横断的な最新辞典です。

  ご購読の申し込み、オンライン購読、バックナンバーはこちら。
       http://www.nims.go.jp/publicity/nimsnow/




◆4 :  お知らせ & 技術質問コーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ●第2回 構造材料 国際クラスターシンポジウム 11月21日~22日
 
 産官学の各分野の専門家が一堂に会し、構造材料研究の社会的な役割や技術
課題の整理、その課題解決に必要な取り組みなどについて議論を深めるシンポ
ジウムです。我が国の構造材料研究の一層の活性化を図ることを目的として昨
年第1回を開催しました。
 喫緊の課題である希少元素問題や、震災後に再認識された構造物の安全性な
ど、我が国の社会・経済を支える構造材料の役割は益々重要になる一方であり、
その責任を果たさなければなりません。このシンポジウムは、2012年6月に
構造材料をテーマとして開催される NIMS Conferenceの事前会議としても位
置付けており、本シンポジウムでの議論は NIMS Conferenceにおいてさらに
国際的な課題に展開される予定です。
 
 今回のプログラムの中から、いくつかをご紹介します。
 
 ・植物質な未来都市構想「環境アイランドGREEN FLOAT」について
                清水建設 (株)  吉田郁夫氏
 
 ・自動車における金属系構造材料の動向と課題
                 トヨタ自動車 (株)  北野智靖氏
 
 ・3次元アトムプローブ、TEM、SEMによる金属材料の
                      マルチスケール組織解析
                (独) 物質・材料研究機構 佐々木泰祐氏

 ・常識を覆す新しい構造材料としてのバルクナノメタルの可能性
               京都大学  辻 伸泰氏

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    日時 :  2011年11月21日 (月)  13 : 00~
                22日 (火)   9 : 00~
   
    場所 :  物質・材料研究機構 千現地区 第一会議室
  
  ※Webサイトより参加登録をお願いたします。 
    → http://www.nims.go.jp/nims-ism/1121symp/ 


   【問い合わせ先】
    独立行政法人 物質・材料研究機構
    第2回構造材料国際クラスターシンポジウム事務局 
     TEL:029-859-2114  FAX : 029-859-2121
     Email: ism[at]ml.nims.go.jp 

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 ●つくばイノベーションアリーナ (TIA-nano)  公開シンポジウム
    ~動き出したオープンイノベーションハブ~   11月25日

 つくばイノベーションアリーナ(TIA-nano)では、日本が21世紀のナノテク
ノロジー産業の推進役として世界をリードすることを目的として、国の支
援のもと、つくばで世界最先端のナノテクノロジー研究開発拠点の整備・
拡充に取り組んでいます。
 2010年度は6コア研究領域からなる運営体制を確立し、中期計画の制
定や施設整備等の拠点形成を進めてきました。並行してTIA-nano拠点を活用
した多くの研究開発プロジェクトが本格稼働しています。 

 このたび、最新のTIA-nanoのオープンイノベーションの取り組みを紹介し、
多くの皆様にTIA-nanoを活用いただくことを願って、第2回公開シンポジ
ウムを開催いたします。今年は、各コア研究領域を中心に最新の研究成果
や拠点活用の枠組みを紹介します。 多数の皆様のご参加をお待ちしており
ます。


   日時 :  2011年11月25日(金)   
                 シンポジウム 10時20分~16時45分
                                 (受け付け開始9時30分) 
           ポスターセッション、引き続き懇親会 17時~19時 
   会場 :  芝浦工業大学豊洲キャンパス 
          シンポジウム 交流棟6階大講義室
              ポスターセッション、懇親会 交流棟3階カフェテリア
          〒135-8548 東京都江東区豊洲3-7-5
          
       ※Webサイトより参加登録をお願いたします。 
     → http://tia-nano.jp/index.html
     

 ●『技術質問コーナー』受け付け中
   NIMSでは、物質・材料に関する質問をお受けいたします。一般的な
    内容にとどまらず、一歩踏み込んだ専門的・技術的な質問にも可能な
    限りお答えします。質問はメルマガ内に示されるアドレスで受け付け。
    質問者の了解を得たものについては回答もメルマガで公表します。
  受付はメールにて :  mailmag[at]nims.go.jp




◆5 :  NIMSフォーラム 開催報告

 このメールマガジンでもお知らせしてきました「第11回NIMSフォーラム」
は10月26日に無事開催いたしました。大勢の方々にお越しいただきました。
特に、研究者によるミニ講演では、用意した座席では足りず、全ての回で
立ったままご観覧いただいた方がいらっしゃったことをお詫び申し上げます。
 NIMSフォーラムは毎年1回秋、その年のNIMSの成果から、新製品開発に
役立つ可能性が高いと思われるものを選りすぐって発表する展示会です。
ぜひ来年のNIMSフォーラムにもご期待ください。詳細と事前申し込み受付の
ご案内はこのメールマガジンで配信します。

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 pr=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
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 nims.unsubscribe=fofa.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
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 独立行政法人物質・材料研究機構 企画部門 広報室
 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 TEL. 029-859-2026 (広報室直通) 
 URL:http://www.nims.go.jp/
 ※掲載記事の無断転載を禁じます。
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