「第36回 安藤博記念学術奨励賞」を飯村壮史 主任研究員が受賞

2023.05.24


一般財団法人 安藤研究所より「第36回 安藤博記念学術奨励賞」が、飯村壮史 (電子・光機能材料研究センター 電子セラミックスグループ 主任研究員) に授与されました。

「飯村壮史 主任研究員」の画像

飯村壮史 主任研究員



「安藤博記念学術奨励賞」は、電子工学の基礎を築いた安藤博の研究ならびに発明の功績を記念し、わが国の優れた研究者に対し学術奨励賞を贈呈することにより、エレクトロニクスと電子産業の育成と発展に寄与することを目的とした、一般財団法人 安藤研究所より授与されている賞です。


受賞タイトル

水素の陰イオンを用いた新規電子・イオン伝導性材料の開拓

研究業績 概要

水素は宇宙で最も豊富な元素でありながら、最近では二酸化炭素を排出しない次世代のエネルギー源としても注目される有用な元素です。受賞者は水素の陰イオン(H)が材料中の酸素を高濃度に置換し、様々な機能を高度化させることを明らかにしました。鉄系超伝導体中のHは、酸素のサイトを最大80%まで置換する電子ドーパントとして機能し、より高い超伝導転移温度を示す新規超伝導相や超伝導を媒介できる新たな磁性相を誘起しました。また本技術を電子絶縁体酸化物にも展開しHを室温で高速に伝導させる材料 (LaH3−2xOx) の開発にも成功しました。LaH3−2xOxは、a)固体のプロトン (H+) 伝導体と同等の伝導度を示すだけでなく、b)高い還元能を持つHを輸送できる、c)加湿無しに高い伝導度が得られる、d)中温域でも作動可能であるなど、プロトン伝導体には無い特長があり、燃料電池や水素化電解反応器用の電解質としての応用が期待されています。