半導体デバイスグループについて
未来社会Society 5.0の実現にはIoT、AI、ビッグデータ解析などのデジタルインフラから、エネルギーを効率よく利用するためのパワエレ機器まで、低消費電力で高性能な半導体デバイスが不可欠です。
本グループでは、半導体デバイスの性能および信頼性を決定づける絶縁膜・金属・半導体間の界面における物理を中心に、材料設計および界面制御指針を構築し、革新的な機能を発現するデバイスの創製を目指します。
専門分野・研究対象
Beyond 1 nm CMOS 向けゲートスタック技術
スマートフォンやパソコンに代表される情報通信機器の頭脳とも言えるCMOS集積回路は、1970年代に量産が始まって以来、様々なプロセス技術や新材料を導入しながら進化を続けてきました。現在では、約1cm2のチップ内に数百億個ものMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタが搭載されており、その1個の大きさはインフルエンザウイルスよりも小さくなっています。半導体の「S」には長らくシリコン(Si)が使われてきましたが、その限界が近づいており、あと10年後にはSiに替わる半導体材料が不可欠になると言われています。その候補としては、遷移金属ダイカルコゲナイドなどの2次元材料やゲルマニウム(Ge)が挙げられます。これらの半導体がMOSトランジスタとして性能を発揮するには、どのような絶縁膜・金属と組み合わせるのか、そしてどのようなプロセスで作るのかが重要になります。これは金属・絶縁膜・半導体が積層されたMOSゲートスタックの界面が電流駆動力(移動度)、閾値電圧制御性、長期信頼性などを大きく左右するためです。
本研究グループでは、MOSトランジスタの試作・評価や界面構造の物理分析を通じて、デバイス物理とプロセス技術の深化に取り組みます。
ワイドバンドギャップ半導体パワーデバイス
電力の変換・制御を司どるパワー半導体では、集積回路よりも一足早く新たな半導体材料が導入されました。電動自動車(xEV)や鉄道のインバータ、太陽光発電・風力発電のパワーコンディショナーに使われるMOSトランジスタはSiから炭化ケイ素(SiC)への置き換えが進んでいます。しかしSiC MOSトランジスタはそのポテンシャルをまだ十分に発揮できておらず、その原因の1つにSiO2/SiC界面があります。
SiC MOSトランジスタの性能向上に向けて、SiO2/SiC界面物性の解明や新たな酸化方法などのプロセス開発に取り組みます。
グループメンバー
