量子物質創製グループについて
Create. Resolve. Measure. Understand.
未知の物質を創り、構造と量子機能を解き明かす。
物質をつくることから、量子機能の原理を見いだす
私たちは、高温高圧合成、元素置換、結晶構造制御、複合アニオン化などを駆使し、自然界や通常の合成条件では得られない新しい固体物質を創製しています。
得られた物質について、結晶構造解析、磁気・電気・熱的性質の測定、中性子・放射光を用いた高度な解析、理論計算を組み合わせ、結晶構造と量子物性の関係を明らかにします。
新物質の着想から合成、構造決定、物性評価、理論的理解までを、グループ内外の連携によって一貫して進められることが、私たちの強みです。
私たちの研究
原子の並び方を設計し、これまでにない機能を生み出す
固体物質の性質は、含まれる元素だけで決まるわけではありません。
原子がどの位置に並ぶか、どの元素がどの結晶サイトを占めるか、結晶がどのような対称性を持つかによって、磁性、電気伝導、誘電性、超伝導などの性質は大きく変化します。
私たちは、化学組成、陽イオン配列、アニオン組成、結晶対称性を制御し、既存物質には見られない磁気・電子・量子現象を探索しています。
さらに、低温、高磁場、高圧などの極限環境で物性を調べ、物質中でどのような相互作用が働き、機能がどのように発現するのかを明らかにします。
新物質を発見するだけでなく、得られた理解を次の物質設計へとフィードバックし、新しい機能を持つ固体物質を継続的に創り出すことを目指しています。
4つの強み
通常条件では得られない物質を創る
高温高圧合成と結晶育成
高圧下では、常圧では不安定な元素の組み合わせや酸化状態、配位環境、結晶構造を安定化できます。
私たちは、高温高圧合成を用いて、準安定相、新しい酸化物、複雑なペロブスカイト型化合物などを探索しています。高圧を単なる合成条件として用いるのではなく、結晶構造や元素配列を制御するための物質設計手段として活用していることが特徴です。
また、高圧合成では多結晶試料しか得られないことも多いなか、詳細な構造解析や方向依存性を含む物性測定に適した、高品質な単結晶の育成にも取り組んでいます。
ベルト型およびマルチアンビル型高温高圧合成装置を用いて、新物質の探索と機能性単結晶の育成を進めています。
元素だけでなく、原子の並びとアニオンを設計する
結晶化学に基づく新物質設計
同じ元素からなる物質でも、原子の配列や結晶構造が異なれば、その物性は大きく変化します。
私たちは、陽イオンの秩序配列、格子の歪み、結晶対称性を制御することで、磁性、誘電性、電気伝導などの機能を設計しています。特に、複数種類の陽イオンが異なる結晶サイトに規則的に配置された、多重秩序ペロブスカイトの合成と物性研究を進めています。
さらに、酸素のみからなる一般的な酸化物とは異なり、酸素、窒素、硫黄、ハロゲンなど、複数種類のアニオンを組み合わせる複合アニオン化学を用いて、結晶構造と電子状態の自由度を拡張しています。
アニオンの種類や配置を変えることで、通常の酸化物には見られない化学結合、層状構造、開放骨格、イオン伝導経路などを形成できます。これにより、磁性、電子伝導、イオン伝導、光学特性など、新しい機能を持つ固体物質の設計が可能になります。
構造と物性を多面的に解き明かす
X線・中性子・極限環境物性測定
新しい物質を得るだけでは、なぜその機能が現れるのかは分かりません。
私たちは、粉末・単結晶X線回折、中性子回折、中性子非弾性散乱、小角散乱などを用いて、結晶構造、原子分布、磁気構造、磁気励起を調べています。
X線回折によって原子配列や結晶対称性を、中性子回折によって磁気モーメントの配列を明らかにします。また、中性子非弾性散乱を用いることで、物質中のスピンがどのようなエネルギーで励起され、どのように伝わるのかを直接調べることができます。
さらに、磁化、電気抵抗、比熱、誘電特性などの基礎物性評価に加え、低温、高磁場、高圧などの極限環境で測定を行い、通常条件では現れにくい相転移や量子状態を探索します。
国内外の中性子・放射光施設や共同研究者と連携し、一つの物質を複数の測定手法から検証することで、構造と物性の関係を多面的に明らかにします。
実験と理論を往復し、次の物質設計につなげる
統計力学・原子論モデル・計算科学
実験結果を記述するだけでなく、なぜその現象が現れるのかをモデル化し、次の物質設計へとつなげます。
私たちは、相転移、臨界現象、磁化過程、スピン再配向、熱揺らぎ、非平衡現象などを対象に、統計力学や原子論モデルを用いた解析を行っています。
原子論モデルでは、個々の原子スピン、交換相互作用、磁気異方性、熱揺らぎなどを取り入れ、実験では直接観測しにくい磁化反転や相転移の過程を解析します。
理論計算は、実験結果を事後的に説明するためだけのものではありません。実験との比較を通じて、物性を支配する相互作用や制御因子を抽出し、次に合成すべき化学組成、元素置換、結晶構造に新たな指針を与えます。
グループメンバー





学生・若手研究者へ
まだ誰も調べたことのない物質を、自分の手で創る
進学・研究参加を希望する方へ
連携大学院について
北海道大学大学院総合化学院とのNIMS連携大学院を通じて、博士課程学生を受け入れています。
NIMSの研究設備と国内外の共同研究ネットワークを活用し、新物質の設計・合成から、構造解析、物性測定、理論的理解まで、一連の研究を経験できます。
研究対象は、まだ教科書に載っていない物質です。予想どおりに合成できないことも、初めて観測した現象の意味がすぐには分からないこともあります。
その試行錯誤を通じて、物質を見極める力、実験を組み立てる力、データを検証する力、そして結果を物理と化学の言葉で説明する力を育てます。
実験を中心に研究したい人、結晶構造と物性の関係に興味がある人、量子磁性を中性子で調べたい人、計算科学によって材料機能を理解したい人など、異なる専門性や関心を持つ学生・若手研究者が協力して研究できる環境です。
研究室見学・進学相談
研究室見学や進学に関する相談は、随時受け付けています。関心のある研究内容に応じて、メンバーのいずれかにメールでご連絡ください
ポスドク・研究員としての参加
JSPS外国人特別研究員やJSPS特別研究員などの制度を利用した受入れについても相談を受け付けています。応募を検討している方は、希望する研究内容と経歴を添えて、関係するメンバーにお問い合わせください。
国際共同研究・研究者交流
国際共同研究や研究者交流については、JST LOTUSプログラムなどの枠組みを活用して進めています。
共同研究の相談
新物質合成、構造解析、磁気・輸送特性、中性子散乱、理論計算などに関する共同研究の相談を随時受け付けています。研究内容に応じて、メンバーのいずれかにご連絡ください。
メンバーへの問い合わせ
グループ共通の代表メールアドレスはありません。研究内容や相談事項に応じて、各メンバーに直接ご連絡ください。