熱エネルギー変換材料グループについて
20世紀において人類はかつてないレベルまで電子、スピン、フォトンなどを制御できるようになったが、21世紀の最大の科学技術課題の一つに、フォノンの制御、すなわち熱エネルギーの高度な制御を如何に実現するかが挙げられる。
本グループは、先端的な新規熱電材料の開発、および、熱輸送の根源的な解明・評価・制御手法の開発などに主に取り組んでいる。また、無数のIoTセンサーなどの自立駆動やカーボンニュートラルの実現へ向けた熱電発電および冷却デバイスの開発も進めている。
専門分野・研究対象
1、新規な熱電材料の開発
熱電材料開発においては、熱電高性能を阻害する各物性のトレードオフ関係を凌駕するような、フォノンエンジニアリング、およびゼーベック効果増強の両面における、新規な高性能化原理を開発している。前者では、例えば、ナノミクロ多孔によるフォノンの選択散乱により、高電気伝導と低熱伝導を両立できるような希土類フリーの高性能材料を発見した。後者は、磁性の活用による熱電効果の増強を見出し、磁性半導体熱電材料という新領域を開拓してきた。電荷キャリアと磁気モーメントとの磁気相互作用やスピン揺らぎ、アンダーソン局在状態などを活用して、ゼーベック効果増強の新原理を見出したきた。また、バンド間の電子の散乱を活用して、本来ゼーベック効果が小さい金属材料においても増強を得て、高性能の「金属熱電材料」という新規な領域も開拓している。一方で、粒界面制御や電子の非局在効果などを活用して、熱電材料の電子移動度の増強にも成功している。
その他にも、バンド構造制御、欠陥制御、インフォマティクス、AI、ナノコンポジット、化学ボンドの制御など、多岐なアプローチによる新規な高性能熱電材料や熱電発電デバイスの開発を進めている。
その結果の顕著な例として、半世紀以上チャンピオンに君臨した希少元素ビスマステルル系を凌駕できる資源豊富な高性能熱電材料の開発にも成功している。
2、新原理電極材料および新規な熱電発電デバイスの開発:
新規な高性能材料に合致したような新原理のアクティブ電極や、デバイス設計技術として従来の有限要素法を用いた方法より1万倍速く熱電デバイスの性能予測を可能にするAIニューラルネットワークも開発した。
IoT熱環境発電用や、省エネ・カーボンニュートラルに貢献できる廃熱発電用や火力発電所のトッピングサイクル用、固体冷却用の種々の実用化のために、バルク、フレキシブル、薄膜型などのさまざまな実装形態の熱電発電デバイスの開発を進めている。
3、新規な熱評価法の開発:
オリジナルな集光型のピコ秒サーモリフレクタンス装置を活用し、面間・面内方向の熱拡散率、および界面熱抵抗を評価できる方法の開発中である。薄膜に限らず、小さい結晶などにおいても、面直方向へ熱伝導率をsite selectiveにプローブする評価法を確立している。
また、熱電発電デバイスの正確な評価方法や熱電研究のBest Practicesを発信している。
4、新規な無機材料の創製と物性制御
高温セラミックス材料であるホウ化物などに関して、その特徴的なネットワーク状構造(クラスター構造、および、2次元的な原子ネット構造)あるいは構造物性相関を活用して、機能性材料として開発している。
その他に、新規な酸化物、シリサイド、窒化物、カルコゲナイド化合物(硫化物、セレン化物、テルライド)などに関しても、多角的に開発している。
グループメンバー






