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本センターでの研究開発
めざすもの

このページでは、本センターの研究員達が目指す材料や素子についてご紹介します。
電子材料、光材料の研究といっても、その守備範囲は多岐にわたります。1つの軸でそれらを振り分けることは難しく、 ここでは、主に、めざすもの、という軸でこのセンターの研究開発を俯瞰してみることにします。
本センターが目指す、デジタル技術や情報通信を活用した豊かな社会のためのエレクトロニクス関連技術、 再生可能エネルギーや省エネルギーの展開のための材料技術、省資源化に向けた新材料や資源化や再利用のための材料技術、 最先端の量子技術を展開するための材料、環境保全や人の生活に安全や安心や健康をもたらすための材料技術を実現し、人々に真に豊かな社会生活を提供することを目指して、研究開発を進めています。

エレクトロニクス

エレクトロニクスは非常に広い技術分野です。まず、その主役の1つは、半導体です。特に、電力制御やセンサ開発などに用いられる半導体の研究開発を進めています。それぞれの目的に最適な半導体材料を見出すこと、あるいは、その品質を上げることで信頼性を獲得することによってエレクトロニクスの高機能化や信頼性向上のための検討を進めています。
また、エレクトロニクスの回路を構成するための材料、すなわち、コンデンサなどの部品や記憶素子などのICの中で使われる材料の研究開発を進めています。用途によって、それはセラミックスの形態であったり、厚さがナノメートル台の薄膜であったり、様々な形態を持ちます。電子機器の小型化や信頼性改善に貢献することを目指しています。
以下に、実際に行われている研究開発を示します。

パワーエレクトロニクス半導体

高電圧の電力制御のためのワイドバンドギャップ半導体の開発を進めています。

誘電体・強誘電体薄膜

不揮発メモリー素子などへの応用を目指した薄膜材料の開発を進めています。

光を活用したエレクトロニクスの高速化

省エネルギー

如何にして電力を有効に利用するか、が最も大きな課題です。それは、電子機器や電気機器からの熱の発生を減らす、あるいは、機器を冷やすことなしに動作させる、という課題になります。
電力の大きな部分は、照明、光を出すことで消費されます。本センターでは、照明の効率を上げるとは、熱をださずに光を出すことであり、すなわち、熱くならない光源を実現することが目標です。
省エネルギーのもう一方の主役は、半導体です。「オンの時には電気抵抗が限りなく小さく、オフの時には漏れ電流を限りなく少ない」、それによって、電力が熱になってしまうことを抑制します。 また、温度が上がって機器が誤動作するのを抑止するため、電子機器には冷却装置が付いています。冷却のための電力を減らすこと、すなわち、高い温度でも安定して動作する電子機器を作ることでも電力消費を低減できます。
さらに、エレクトロニクスの回路を構成するコンデンサなどの部品でも、熱の発生を抑止し、温度変化に対して安定に動作させることで、電力効率を向上させます。
以下に、実際に行われている研究開発を示します。

再生可能エネルギー・新エネルギーのための材料開発

太陽光発電や、水素利活用のための高性能材料の開発を進めています。

光源・照明の高効率化のための材料開発

パワーエレクトロニクス活用のための材料開発

省資源

電子材料、光材料の中では、希少元素といわれる元素を使う事で機能が発現しているものが多くあります。希少金属は、その採取・精製でも環境負荷が大きく、エネルギー消費も大きくなります。また、地政学的なリスクもともないます。そのため、希少金属の使用量を減らし、手に入りやすい元素を使って、高い機能の素子や装置を実現することは、省資源のための重要な取り組みとなります。
もちろん、材料を再利用する事、あるいは再資源化することも重要な取り組みとなります。そのため、使用しなくなった電子部品からの資源回収に必要な要素技術の開発を進めています。
以下に、実際に行われている研究開発を示します。

資源循環、再利用のための技術開発

資源循環、再利用のための元素代替え技術開発

量子技術

量子技術とは、電子がもつ波としての性質や光が持つ粒子としての性質など、量子力学に則った振る舞いを顕わに利用する技術です。特に近年、光の最小単位である光子を一粒一粒の単位で発光させる、単一光子発生などの量子技術が注目されれています。
それらの物理現象を量子暗号通信や量子センサなどに応用するための研究・開発を進めています。量子効果が顕著に表れる材料の開発や、量子効果を計測・検出を可能とする手段の開発を通じて量子効果を工学応用するための技術の開発、などです。

量子機能材料の高性能化

環境保全・安全・安心

健康を維持すること、健康が維持できる環境を実現することは、人々の生活に安心をもたらします。そのため、体調を把握するため診断技術、あるいは、生活環境の中の危険物質の検出などに用いられるセンサの開発を進めています。
また、水素社会を念頭に置いた水素ガス検出センサ、セキュリティーや医療のための放射線の検出、自動運転のためのセンサなど、安全を確保するためのセンサも重要な技術です。
さらに、環境から危険を取り除くことも重要です。そのため、水や空気の中から有害元素や有毒物を取り除くための吸着剤の開発なども推進します。
以下に、実際に行われている研究開発を示します。

分子・物質の捕捉

放射線の捕捉

毒物・危険物の除害

毒物・危険物の不使用

電子・光機能材料研究センター SITE MAP