2024年02月22日
“アンチ・アンバイポーラトランジスタ” と呼ばれる室温で負性微分トランスコンダクタンスを示す特殊な有機トランジスタを利用し、4値論理回路を実証。従来のCMOS技術では、6個以上のトランジスタを必要とする論理回路をたった2つのトランジスタで実現した。

有機集積回路は、有機材料の持つ軽量性、柔軟性、生体親和性といった特徴を活かし、ヘルスケアーセンサーや電子タグといったヒューマンフレンドリーなモバイル情報端末への応用が期待されている。しかしながら、有機集積回路では既存の微細加工プロセスが適応できないため、その集積度は極めて低い。そのため、素子の微細化だけに依存しない有機集積回路の高性能化技術の開発が求められている。 本研究では、“アンチ・アンバイポーラトランジスタ” と呼ばれる室温で負性微分トランスコンダクタンスを示す特殊な有機トランジスタを利用し、4値論理回路を実証した。従来のCMOS技術では、6個以上のトランジスタを必要とする論理回路をたった2つのトランジスタで実現した。今後、有機集積回路の大幅な高集積化、高性能化に繋がる成果である。
早川 竜馬 主幹研究員(量子デバイス工学グループ)
(2023年「Advanced Functional Materials」誌
Reference
Journal | Advanced Functional Materials |
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Title | Antiambipolar Transistor with Double Negative Differential Transconductances for Organic Quaternary Logic Circuits |
Authors | Debdatta Panigrahi, Ryoma Hayakawa, Yutaka Wakayama |
Affiliations | Research Center for Materials Nanoarchitectonics (MANA), National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan |
DOI | 10.1002/adfm.202213899 |