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[Vol. 85] スピン波のカオスな振舞いによる高性能物理演算デバイス

2023年10月03日

本研究では、スピン波干渉に基づく物理演算を世界に先駆け実験的に実証した。際立ったカオス性と巨大な記憶容量によって非常に高い計算能力を有することを確認し、本技術を基盤とする圧倒的に高性能なAIデバイス実現の可能性を示した。

リサーチハイライトVol.85のグラフィックス画像

Society 5.0実現に向け低消費電力、高計算性能かつ小型なA Iデバイスの需要が高まっており、物理現象を利用して高効率に情報処理を行う物理演算の研究が進んでいる。磁性体内のスピン波干渉を利用すると高性能な情報処理が行えることが理論計算によって予想されていたが、実現可能性や実際の性能は不明だった。

本研究では、スピン波干渉に基づく物理演算を世界に先駆け実験的に実証した。際立ったカオス性と巨大な記憶容量によって非常に高い計算能力を有することを確認し、本技術を基盤とする圧倒的に高性能なAIデバイス実現の可能性を示した。

画像・人物・音声・匂いなどのデータに対する分類や将来予測を含むあらゆるパターン認識・判断に利用できるため、汎用性が高く、高速かつ低消費電力なAI機能搭載端末機器への応用が期待される。

並木 航 NIMSポスドク研究員(イオニクスデバイスグループ)
土屋 敬志 主幹研究員(イオニクスデバイスグループ)
(2023年「Advanced Intelligent Systems」誌)

References

Journal Advanced Intelligent Systems (August 22, 2023)
Title Experimental Demonstration of High-Performance Physical Reservoir Computing with Nonlinear Interfered Spin Wave Multidetection
Authors Wataru Namiki, Daiki Nishioka, Yu Yamaguchi, Takashi Tsuchiya and Kazuya Terabe
Affiliations ナノアーキテクトニクス材料研究センター(MANA), 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS),
〒305-0044 茨城県つくば市並木1-1
DOI doi.org/10.1002/aisy.202300228
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