2023年02月17日
ルテニウム原子と酸素原子からなる酸化ルテニウムナノシートは、その原子の配列が分からないために、20年以上もの期間、その特性の本質を理解できていませんでした。しかし、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の研究者が中心となり、その原子の並びを解き明かすことに成功しました。

材料の特性は原子の配列で決まり、このことは昔ながらの材料だけではなく、最先端の二次元材料にも当てはまります。分子・原子レベルの厚みを有するナノシートは様々な分野での応用が強く期待されている材料です。その中でもルテニウム原子と酸素原子からなる酸化ルテニウムナノシートは、原子数個分の厚みという極めて薄い材料ながら、電気伝導性があることが知られており、エレクトロニクスなどへの応用が期待されています。
しかし、その原子の配列が分からないために、20年以上もの期間、その特性の本質を理解できていませんでした。今回、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の研究者が中心となり、その原子の並びを解き明かすことに成功しました。このことは新しい電気伝導性ナノシート材料を生み出すことなどに繋がる重要な成果と言えます。
冨中 悟史 主幹研究員
(2022年「Journal of the American Chemical Society」誌)
References
Journal | Journal of the American Chemical Society 2022, 144, 33, 15008–15012 (July 25, 2022) |
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Title | Symmetric Breakage-Induced Semimetallic State: Polymorphism in Ruthenate Nanosheets |
Authors | Kazutaka Sonobe, Satoshi Tominaka, and Wataru Sugimoto. |
Affiliations | International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA), National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan |
DOI | 10.1021/jacs.2c05951 |