2021年11月16日
ピラジナセンの中でも重要な二つの化合物、「オクタアザテトラセン」と「デカアザペンタセン」を合成し、それらの表面上の特性を報告しました。
アセンは、有機半導体としての特性だけでなく、興味深い電子構造を有する重要な化合物です。最近まで、このアセン化合物群には、窒素原子置換を積極的に導入した「ピラジナセン」化合物がありませんでした。本研究では、ピラジナセンの中でも重要な二つの化合物、「オクタアザテトラセン」と「デカアザペンタセン」を合成し、それらの表面上の特性を報告しました。合成は、周辺に複数の窒素原子が存在するため非常に困難でした。化合物の酸化状態の可変性を通じて、これまで知られていなかったデカアザペンタセン誘導体へのアクセスが可能となり、表面上での分子構造が誘導体の酸化状態に依存する特徴を利用しました。ピラジナセンは、有機半導体分子の中でも高窒素ドーピングの利点を明瞭に示したものです。
ジョナサン ヒル グループリーダー
（2021年「Communications Chemistry」誌）
Reference
| Journal | Commun Chem 4, 29 (2021) |
|---|---|
| Title | Pyrazinacenes Exhibit On-Surface Oxidation-State-Dependent Conformational and Self-Assembly Behaviours |
| Authors | David Miklík, S. Fatemeh Mousavi, Zuzana Burešová, Anna Middleton, Yoshitaka Matsushita, Jan Labuta, Aisha Ahsan, Luiza Buimaga-Iarinca, Paul A. Karr, Filip Bureš, Gary J. Richards, Pavel Švec, Toshiyuki Mori, Katsuhiko Ariga, Yutaka Wakayama, Cristian Morari, Francis D’Souza, Thomas A. Jung and Jonathan P. Hill |
| Affiliations | International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA), National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan |
| DOI | 10.1038/s42004-021-00470-w |