本文に移動 ナビゲーションに移動

[Vol. 59] プローブ顕微鏡探針を用いた、局所化学反応とユニークな炭素構造体の実現

2020年08月21日

新たに合成した特別な前駆体の分子を基板表面上で化学反応させ、三次元構造のグラフェンナノリボンを実現しました。

リサーチハイライトVol.59 グラフィックス画像

一つの分子の構造を観察しつつ、更に、直接的に変化できる技術は、究極的なナノアーキテクトニクスといえるかもしれません。今回、新たに合成した特別な前駆体の分子を基板表面上で化学反応させ、三次元構造のグラフェンナノリボンを実現しました。そのナノ構造の中には、基板から飛び出ている臭素原子があります。超高真空・極低温という極限環境で動作する走査型プローブ顕微鏡の探針からトンネル電流を流すことで任意の臭素原子を必要なだけ取り除き、反応性が極めて高いラジカル状態をつくることができました。更に、探針で操作したフラーレン分子を直接的にその部位へ結合させることにも成功しました。この局所化学の技術を用いて実現したユニークな炭素構造体は、ナノ電子デバイスなどの応用展開も期待できます。

川井 茂樹 主幹研究員 (現在は グループリーダー)
(2020年2月 「Science Advances」誌)

Reference

Journal Science Advances [February 28, 2020]
Title Three-dimensional Graphene Nanoribbons as a Framework for Molecular Assembly and Local Probe Chemistry
Authors Shigeki Kawai, Ondřej Krejči, Tomohiko Nishiuchi, Keisuke Sahara, Takuya Kodama, Rémy Pawlak, Ernst Meyer, Takashi Kubo, and Adam S. Foster
Affiliations International Center for Materials Nanoarchitectonics (WPI-MANA),
National Institute for Materials Science (NIMS), Namiki 1-1, Tsukuba, Ibaraki 305-0044, Japan
DOI 10.1126/sciadv.aay8913
ページトップへ